遠巻きに､それまで慕われていた子どもたちに罵声を浴びせられ､泣いているようにも見える｡ その青いものは､ゆっくりと庭先の道路を過ぎると､あてもなくどこまでも歩きつづけていた｡ ｢これじゃ､野良えもんね……｣ わたしは小さくつぶやいた｡(完) #風評 18 pic.x.com/mxwiolp8vq

洗濯物を取り込んでいると､遠くのほうから声が聞こえてきた｡ ｢近寄るな､あっちいけ｣ 子どもたちの声だ｡ あれの姿を目にしたのだろうか｡あまり近づいてほしくはない｡それでもくわしい事情がよくわからないなりに､危険なことだけは認識したのだろう #風評 15 pic.x.com/vhzifhscdj

自分にいい聞かせるようにことばを発し､坂田さんの宅を辞した｡ ｢見たい見たい｡近寄らないから､遠くから見るだけならいいじゃん｣ ふたりの子どもを呼んで話をすると､さっそく翔太のほうがぐずりはじめた｡いくら危ないのだといっても､物心のついたころから親しみを覚えていた相手だ #風評 12 pic.x.com/ozcbljdowu