38. 「話が違うわ！」 「どの話が？」 「今回はプライヴェートだって！」 「公じゃないぞ」 「だったら言い方が！」 「非正規作戦とか？」 「そっちじゃないって期待が！」 「いや“女台風”だろ」 「そうだけど！」 「ま、一仕事の後の一杯ってのも」 「……おごって、くれる？」

37. 「何してた」 「主役は遅れてくるもんだ」 「そいつはどうかな」 「自己主張か？」 「襲撃はさっき返り討ちに」 「ご苦労さん」 「指揮系統を手繰ってな」 「有能だねェ」 「親玉の弱みを」 「お手柄だな」 「で、黒幕を」 「お、出番か」 「いや明日にも首脳会談にな。警備統括は俺。来るか？」

35. 「おい何の冗談だ？」 「悪いが事実だ。馬鹿が弱みを握られたんだと」 「で、この馬鹿を餌に？」 「そうなるな」 「で、馬鹿を連れ込んだ無能は？」 「マークして情報隔離中」 「で、済ませられるか？」 「大掃除――になるな」 「ったく、せっかくの情報網が」

36. 「えっと……チョコ？」 「……遅れたけど」 「そ、そっか。大変だったな」 「うん。受け取ってくれる？」 「ああ、練習としちゃいいかな」 「え?!あ、うん……」 「本番もこの調子、って来年だけどな」 「そ、そう、ね……」 「そう縮こまるなって。夏には海とか」 「……え?!」 「いつも通りに」

34. 「何よ私のことなんて」 「依頼人の命は優先だろ」 「だからって突き飛ばされて」 「でなきゃ敵の的になってた」 「私あんな儚げじゃ」 「どうした怪我か？」 「ちょっ裾とかいきなり?!」 「！危ない!!」 「――!!」

33. 「遅刻！」 「ごめん！」 「今度は何？」 「困ってる人をさ」 「また？」 「初対面だよ」 「そこじゃなくて」 「もし自分が、って考えると」 「だいたい助けなんて」 「あれ、あの人……」 「言ってるそばから！」

30. 「では取引だ」 「早々に話せ。我が愉悦と引き替えにする価値はあろうな？」 「もちろん。報酬に――レシピを提供しよう」 「ただの紙束と引き換えなど」 「カップ麺の、レシピだが？」 「――いま、何と？」

32. 「本命？」 「言うな。狙いがバレる」 「それって証人じゃ……」 「こっちがヤツの」 「干渉するわよ」 「……！」 「眼が醒めた？」 「……一体……？」 「通信を止めただけ」 「てことは……！」 「仕掛けてきてるわ。撤退を」 「あー、次の手は物理っぽいな」 「じゃ、そっちの専門ってことで」

31. 「お疲れ」 「ええ……え？」 「……何か？」 「てっきり女だと」 「女よどこ見てるのよ！」 「えーと……」 「どこ見てるのよ!!」 「それはともかく」 「眼が泳いでる！……って、え？」 「えー……」 「……てっきり女だと」

28. 「さて、表か裏か」 「裏」 「じゃ」 「動くな……ッ?!」 「いやァ、トスの瞬間に銃とはね」 「そっちこそ隠しコインを」 「ま、眼眩ましだから傷痕には」 「イカサマは見抜いたけど？」 「問題はやったかどうかだ――が、面白い」 「どうする気？」 「気に入った。手を組もうか」