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けれど何を言っても、勝はどこか遠い目をしていた。話を合わせてくれるけれど、そこに昔のような熱はない。デは脇に置いていた風呂敷を広げた。「これ、庭の八朔だよ」ここまで無事に持ってこられて本当に良かった。心の底からそう思いながら、黄色い実を取り出す。「かっiちゃん好きだったよね?」

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デの家の庭にあった実を、勝が取っては、それを小刀でするりと剥いてくれた。出i久、と差し出された綺麗な実はいつもみずみずしく、そして美味しかった。二人で分け合って食べたその思い出を、勝が覚えていないはずがない。「…ああ、そうだな」勝は視線を落とし、黄色い実を見つめている。

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