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【物語】 「湛増どの、源氏に味方する決心がついたか？」 湛増は上目遣いに、義経を睨みつける。 「やはり、まだ知らぬのか」 「何をだ」 湛増は髭をつねった。 「筑紫の平家方が負けたぞ」 「えっ」 「太宰少弐だった原田種直の奴が、大負けして逃げた。山鹿秀遠も一緒になって筑紫を出たらしい」
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水軍は独自の連絡網を持っている。北九州の情報を一番で知ったのは、そんな事情からだった。京にもまだ、情報は入っていないだろう。 「の、範頼の追討軍が勝って、平家を追い込んだということだな」 「そう言っているだろう。分からんのか」 「むむむ」 義経は腕を組んだ。
