ポスト

フジはまたひとりぽつねんと、秘密基地のようなウロの中に残された。さらさらと続く雨音は、眠る前より弱まっているようだ。 フジは蓄光性の綿毛を抱き締めた。ほわりと温かい。小さく柔らかいものを抱いて横になると、あのかわいいファイが恋しくなる。

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コテージへ戻るにも、北上して槇尾たちを訪ねるにも、難しい地点だった。強靭な脚力とスタミナを持つエルならば、意識のないフジを抱えてどちらかへ駆けることもできるが、それでも遠い。冷たい雨の中を移動させるよりも、手近で雨を凌げる場所をと考えたのだろう。

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