2 / ジョルジュ・シムノン『サン=フォリアン教会の首吊り男』(1931)。傑作。1920年代の「フェアプレイ」形成プロセスと並行して、ハメットのハードボイルドやメグレものなどが同時代的に析出されていく、そうした探偵小説の生成のありようを、私なりにいずれ解明したい。(続く)
メニューを開くハードボイルドにせよメグレにせよ、その特徴は「探偵が〈行動で〉事件のありようを変えてしまう」点にある。この特徴は、探偵が行動に禁欲的になったり、あるいは、行動よりも物質を手がかりとして読んでいくようになる、黄金期本格作品の「裏」であるように思える(いい加減な仮説)。(続く)