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長屋の戸に手をかけて、そこで立ち止まることがある。訛りのきつさを恥じることもなく、明朗な調子でよく笑う、長屋の主の「片割れ」の声が聞こえてきたときだ。土産に持ってきたのはさぞかし愉快な話題なのだろう、うははは、と響く大音声には、隠れるようにして、あの男の忍び笑いも溶けている。

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みんなのコメント

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だからといって晋作が気後れする理由はない。相ッ変わらず馬鹿でかい笑い声だな坂本さん、表にまで聞こえてきたぜ、とからかって、その場に交じればよい。けれど。それは。(野暮じゃ、ないのかね)杞憂であると知りつつも、勝手に躊躇してしまう。粋な男であることは、最近はずいぶん難しかった。

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