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はっきりとは認識できなかった。石室を覆っていたその霧は徐々に一塊のモヤになって上昇して行き、やがてそれは地上付近で顔のない男として現れた。私はその光景を石室の底で梯子に手を掛けたまま見上げていた。あの男がいない今のうちに、ここを一刻も早く離れるべきだが、腰と肩には痛みがあった。

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Kyiv Kalashnikov@kiyuu_channel

足音は免色一人ではなく二人だ。 「先生、大丈夫」 まりえの声だった。 私は声にならない声を絞り出した。 そして、この石室に金属の梯子が降りてきた。 「村上さん、梯子を登れますか」 免色の声だった。 「ええ、大丈夫だと思います」 と、私は答えた。 石室には霧の様なものが立ち込め、二人の姿を

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