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ただ幸いにも、この梯子を登れない程のものでもない。私は地上へのステップを一段一段と慎重に登り始めた。 「お前は何だ」 免色の声が頭上で聞こえた。 「私か。私はお前かもしれない」 顔のない男の低い声だ。 「如何いう事だ」 「そうだな、他人の家を強引に奪い取ったお前だ」 「違う、出鱈目だ」

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Kyiv Kalashnikov@kiyuu_channel

はっきりとは認識できなかった。石室を覆っていたその霧は徐々に一塊のモヤになって上昇して行き、やがてそれは地上付近で顔のない男として現れた。私はその光景を石室の底で梯子に手を掛けたまま見上げていた。あの男がいない今のうちに、ここを一刻も早く離れるべきだが、腰と肩には痛みがあった。

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