ポスト

吐き気をもよおす湿度のなか 少女は駆けた 雨粒を弾いて、脇目もふらず 鼓膜を突く炸裂音を裂いて 生ぬるい飛沫を浴びて 側頭部を熱いなにかがかすめ 手を繋いだはずの母は いつの間にか見当たらない 先を走ったはずの父も 土埃が混じる泥の雨 爆音と熱風が少女を跳ね上げる くるくる回る誰かの手足

メニューを開く

ぷろめてむ@SuisideProteum

みんなのコメント

メニューを開く

地面に叩きつけられ 痛がる暇もなく起きて 死に物狂いで駆けた 畦道に闇が戻る頃 泥水はすえた臭いがした 隠れていた虫が鳴いた 草の影で息を殺し 痛み始める四肢を抱え じっと耐えて 少女はひとり 夏の始まりに残された 季節を越えることを許されず 終わらぬ雨季のただ中に 少女はまだ 息を潜めて

ぷろめてむ@SuisideProteum

人気ポスト

もっと見る
Yahoo!リアルタイム検索アプリ