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意識を逸らし、耳を"閉じる"。もう水の心の声は聞こえなくなった。ゆっくりと咀嚼しながら視線を倅から数が減った昼餉に戻している。 じっとりと背中が冷たい汗で濡れていく感覚がした。口の中に含む米の味はもうしない。父は目の前の相棒へ恐る恐ると見上げた。
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もう一度耳を済ませようとしたが、怒涛の声が聞こえ始めて再び"閉じて"しまう。まさか、この男は普段もぼんやりと過ごす暇もないまま、ずっと思考していたのだろうか。穏やかな一時こそあれど、すぐ切り替えをしてしまう。淡々と巣へ食い物を運び続ける蟻のような男だ。