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例えばこの地に土着した塙保己一の荻野氏は、相模川西岸の地名で、相模国府を中心に活動する氏族だし、古郡氏は甲斐国上野原に土着しているが、横山・猪俣党に属する両氏とも、距離のあるこれらの土地の間でシームレスに移動しているように思われる。

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これらの移動は武士を語る際の一所に囚われたものではなく、牧の経営氏族として諸牧の管理を中心にした発想なのではないか。相武国府間の小野牧、上武国府間の秩父牧を軸に、秩父平氏を中核に七党諸族は鎌倉街道を南北に移動し、土地の開墾よりも牧野の拡張によって分家し、氏族を広げたのではないか。

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