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宇治十帖の後半、浮舟が失踪してからの話はかなりスリリングな書き方になっている。彼女を宇治に囲っていた薫が、あちこちの関係者を訪ね歩きながら「なぜ彼女はそんなことをしたのか」を解き明かしていく一方、実は浮舟は死んでいない事実を明かして、読者をハラハラさせた挙げ句…
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最後の最後に、薫は浮舟の生存を知るものの、浮舟は薫との再会をきっぱりと拒む。そして拒まれた薫は「新しい男がいるのではないか?」という地獄のような猜疑に陥り、その後の人生におそらく幸せは来ないであろうことが示唆される。背筋が寒くなるような結末を、紫さんは書ききっている。凄い。