ポスト
わかります。わかる気がします。 虐殺が始まって以来、わたしも小説が読めないし書けない。 大好きなアメリカ映画も観れなくなった。 フィクションで語られるすべてがあまりに嘘くさく、空々しいと感じてしまう。 フィクションを通してしか語れない物事もあると、わかっていても。
メニューを開くこの世とこの世に生きる人を信じられなくなるとき、私は物語を求めなくなるのだと知った。厭世のあまり物語へと逃げたところで、そこにある架空は、この世の謄写、或いは投射なのだという閉塞。 物語という手段を介した現世の昇華や浄化は、憤懣こそあれ、世界と人への信頼から始まる祈りなのだろう。