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この本が刊行された時、ぼくたちは十一歳なので、さすがにリアルタイムでは読んでいなかったが(塾帰りにいつも立ち寄る、蛍の光の流れる本屋の文庫コーナーで、『ラプラスの魔』だの西谷史氏の小説の挿絵に怯えていた頃である)、その後ディックを読むようになってから手に入れて、以後お気に入りです。
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ひたひたと忍び寄る違和感を、大人になることへの恐れだと思っていたら、それが並行世界との境目の消失によるものだと知る上巻と、終末迫る並行世界を冒険した果てに事象の地平線の先に至る下巻は、まさしく「もうひとつの夏=あらかじめ失われた過去」を巡る喪失の記録である。ディックしてんぜ。