ポスト
ラン。わからんな。らん。今のはアールだな。いやエルか。ランディ。それはアールだ。ラン。動き続ける感覚が唇から視界に広がる。向かいで、やはり同じように確認のため、ラの音を発する相手を見つめながらケンは、またランと呼ぶ。年をとり、仮初の人生を演じ、ふいに思い出して名前を呼ぶ。
メニューを開くみんなのコメント
メニューを開く![](https://rts-pctr.c.yimg.jp/BgIFgYJGVIVv8u0nVJvw8B2FauAYMF4jOP5zFJAV4i5e72TLbER0xQeK1l8ZZ0OL66NfhPqT3-iYiFoj7a_vKKdJFRvEar310Bau_AYjbef0WCQ5rgRfNb3rEOsYwIDaE6QzoPNXJNHlxk1RjS3TWYuqLNd4hK5GYhr2g-rfcjGyyprZ0Zx4QoJeuS09_nNBrgTgpeZjDM_Ap6Kt-l3RvKUb8QH8NYctvv18JZ3zOD8=)
アヤと、呟くと、ラを念じることを止めて、相手が目を合わせてきた。なんだ、と返す声音がたわんでいる。ケンの中で広がるイメージが結ばれていく。ラ、ラ、ラ、そのままケンは口を開いて、ア、ア、ア、ヤ、と紡ぐ。日本語の発音だな、エルもアールも関係なくなって、アヤも、"ケン"と名を呼んだ。