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そのままヘッドフォンを着けて、深い闇の中へと歩き出す。 バッハ『ヨハネ受難曲』バッハ・コレギウム・ジャパンの演奏だ。 もっとシビアな現実を生き抜いている人たちがいるのはわかるけど、母と妹を亡くして、父が壊れて、1人になってしまった自分の受難をなかなか受け入れられない。 #リレー小説 pic.twitter.com/T2lgvLyhdA
メニューを開く夜の闇に、彼女の肌の白さが浮き立つ。 心がざわめき、風が木々を揺らす。 気付いたら、彼女が両手に持ったゴミ袋を受け取っていた。 「あっ、これ良かったら娘さんと食べてください」 ポケットのみかんを、彼女の手に握らせる。 夜は一番深い闇を越えて、少しずつ黎明へと向かっていた。 ＃リレー小説
