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彼の手招きに応じて二階へ上がろうとした時、表の通り向かいの瀟洒な家から下手くそなピアノの音が聞こえて来た。不協和音ばかりの、どんなに聞いても結局何の曲なのか分からないその曲を弾いていたのは、あの時の痩せた顔色の悪い主婦だった。
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彼女はその家のガラスを手でドンドン叩きながら「行ってはいけない、二階へ上がっちゃダメ!」と叫んでいる。 階段の途中では嬉しそうな顔をした若者が「早く来いよ」と言いたげに待っている。 向かいの家ではあの時の主婦が必死でガラスを開けようとしている姿も見える。