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北エスタミルの街並みは美しい。そんな中、げ、とシフが漏らした声に、アルベルトは何の事かわからず暫しの間、シフとその視線の先を交互に見た。空なのか、海なのか、それとも船なのか。 「どうしたの?」 「雨のにおいがする」 アルベルトは改めてシフの視線の先を見ると、鈍色の雲が遠くに見えた。

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ひゅう、と冷たい風に、湿り気を帯びた匂いは、アルベルトにも馴染み深い。エスタミル領とはいえ、地続きのローザリアと同じような気候である。故郷の空模様と同様、まとまった雨が一晩続くだろう。降られる前に旅の支度が済めば御の字とアルベルトがのんびりと考えていると、突然シフに手を引かれた。

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