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ひゅう、と冷たい風に、湿り気を帯びた匂いは、アルベルトにも馴染み深い。エスタミル領とはいえ、地続きのローザリアと同じような気候である。故郷の空模様と同様、まとまった雨が一晩続くだろう。降られる前に旅の支度が済めば御の字とアルベルトがのんびりと考えていると、突然シフに手を引かれた。
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「早くしないと雨に当たっちまう」 「そんなに急いでも、濡れる時は濡れてしまうよ」 「嫌だ」 まだ空が青い中、シフの力に気圧されて、アルベルトは宿の中へと導かれた。部屋を二つ取り、シフは部屋に残り、アルベルトは一人で街へと繰り出した。旅の支度を済ませ宿へと戻ろうとした時、雷が鳴った。