軍拡が現実である。長期的、もしくは中期的な状況の悪化を私が予想するのは、二つの理由による。そのひとつは、アジア太平洋地域のほとんどの国が急速な経済発展を遂げつつあることで、中国をはじめかなりの国が強い国力を持つようになるだろう。そして歴史は経済成長が自動的に平和をもたらす⑩

しかし終わりの方の、金持ち気分から～最後までの話は、全くそのとおりと思う。ゴーンの話も面白く、内政の視点につながる部分はひとつの見解と思う。外交安保がやはり欠点にみえる⑬

ふたりとも、自らの外交や防衛安保について考えるセンスと、基本的知識の欠如を省みるべきではないか？法の支配などの価値があっての現実主義であり、トランプが大統領になりそうだから、価値も現実も等閑視して属人的に国際関係をみるのは、現実追従主義。それは安倍さんの外交安保路線とは正反対⑫

どころか、抗争を劇化させることが多いことを示している」ともに高坂正堯の1996年の指摘。中国の軍事費が日本を上回るのは、データによって違うが、2001年か2005年なので、「10～15年先」という中国についての高坂の危機認識は、大体当たっている⑪

「冷戦の終わりは巨大な抗争の終わりであるから、安全保障努力は今までより少なくてよいという意味だろうか。軍縮の時代という言葉からはそうした判断もうかがわれるが、本気でそのような情勢判断をしているとも思われない。もし本気なら情勢の誤認もいいところで、少なくともアジアでは軍縮ではなく⑨

「私は最近、若い研究者に対して、「中国問題は21世紀前半の最大の問題だが、それは私たちの世代の問題ではなくて、君らの世代の問題だよ」とよく言うが、余り評判はよくないが、私は正しいことを言っていると思う。中国問題が現実化するのは10～15年先だが」⑧

さらにいえば、現在のガザ危機におけるイスラエルの攻撃は自衛権を大きく逸脱し、国際司法裁判所から違法認定されており、それは総会決議や安保理決議でも国際社会の総意となっているのだから、アメリカはイスラエルへの支援を止め、ウクライナとアジアに傾注するのが法的にも、地政学的にも正しい⑦

つまり日米同盟が機能すれば、着実な防衛力強化で、継戦能力は維持されるが、しかしどんなに軍事力を強化しても核武装をしても、日米同盟が機能しなければ終わり。軍事的自立とは幻想でしかなく、それこそお花畑。そもそも政府も有識者も、日本が自国を護る意思を示していないことはないはず⑥

さらに、日本は一国では自国を護れないとは、核武装をしてもどんなに軍事力を強化してもという意味で、先の大戦の一大教訓。日清日露戦争のように日本近海のシーレーンを護り継戦能力を維持できるのではなく、先の大戦と同じく対中戦は広大なシーレーンを護らねば日本の継戦能力は途絶する⑤

それは侵略成功により力を増したロシアも、中国の侵略に協力する可能性がある。つまりウクライナが停戦し、日米が対中防衛に注力したところで、肝心の中国の現状変更を妨げる可能性が高まるわけではなく、むしろその逆が予想され、その考察が全くできていない④