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「ばあちゃん、今から治んとこに納品に行くんやけど、なんか買うもんあるか?」 最近、ますます足腰が弱くなった祖母に声を掛ける。居間のテーブルに腰掛けた祖母は、耳も随分と遠くなった。どうやら、今の北の声は聞こえなかったらしい。 「ばあちゃん。」 「あら、どうしたの?」
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近寄って、声をかけてやっと気付いた祖母は、北の再びの問い掛けにお豆腐が安かったら、と返した。 豆腐は昨日買ったばかりなのに。 最近こういう事が増えた。それがほんの少し北を焦らせる。年齢を思えば仕方がない事だけど、それでもドキッとしてしまう。 「安かったらな。」 それを隠して、笑う。