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「私の腕、返して」「返すとも。君が審神者を辞めるときにな」淡々と何の感情もなくそう言った男は私を見ない。その視線は自身の手元へと落とされ、紙の上を筆が走り続けている。そうして一枚、書類が仕上がった。筆を持てない私の代わりに、審神者が本来やるべき全ての業務を男は引き受けているのだ。

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板間@h_obok

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「返して。ねえ、今すぐ返してよ」「ならば君を隠す。それでも良いなら」それは嫌、と唇を噛んだ私に背を向けたまま男が鼻を鳴らした。男は私を大層好いている。だから腕を奪った。審神者で在るというだけで脅威に晒される世界で、それを憐れんだ男からの庇護を私が拒んだから。

板間@h_obok

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