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柔らかい、愛おしさの溢れる声。 それは、デートのときでしか聞かない、オレの、オレだけが知っているはずの声音で。 薔薇を抱えていない方の手が、オレの座っている椅子の背もたれに置かれる。ギシリと歪む音。 先程よりも近付いた男の、年下の恋人の顔と、噎せ返るような薔薇の香り。 「わぁす」

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「……ッ!」 ひぐりと喉が鳴る、これは駄目だと脳内で警鐘が鳴り響く。 「愛しい恋人にデートを蔑ろにされるのは哀しい。俺はこんなにも、お前を愛しているのに」 絶叫が響き渡る。 息を潜めてこちらを窺っていた研究員から。 そうだよな、叫びたくもなるよな、オレも今すぐ叫び出したい。

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