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以下はあくまで備忘録。今月やっている歌舞伎の「摂州合邦辻」二つは個人的には圧倒的に歌舞伎座だった。浅草はS席先行で二階席3列めで遠かったというのもあるだろうけど、菊之助さんの玉手は揚げ幕が音も立たず上がり、花道を歩く姿から完璧に舞台全体が「しんたる夜」になった。

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wind&flower@difference2021

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吉弥さんも最初に仏壇にいる時の背中からすごく良くて、帰ってきた玉手がやはり俊徳丸に恋をしてると分かった時の、手がかかる娘に絶望する母そのものの佇まいと、玉手が本心を打ち明けた時に「あんたの気持ちはよくわかる」と悲しいながらも慈愛に満ちた相槌。愛娘・辻への愛が溢れていた。

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合邦は歌六さんも猿弥さんもよかったけど、娘のこととはいえ、あんまり出家の身に見えない感情発散系なのが少し気に掛かった。

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設定年齢からするとかなり上には見えるものの、菊之助さんの玉手は、大名の妻という品がありつつ、恋慕の時だけあどけない娘になり、腹を割らないけれどもなにかしたたさかを感じさせつつ、後半の刺された後の戻りは完全に合邦とおとくの娘、一人の貞女だった。

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