ポスト
アルベールはかつて閨でそうしたように、甘ったるく蠱惑的な声で囁く。しかしその甘さは見せかけであり、その裏に狡猾な本性が隠れていることが今では分かる。 五年前、初めて彼から声をかけられた時には気付けず、彼の甘言を真に受け、深く愛してしまった。 「何しにきたの?」 「決まってるだろ?」
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アルベールは臨月のお腹に優しく触れる。 気持ち悪さと怒りが同時に湧きあがる。 「触らないでっ!」 「そう怒るな。我が子の成長を感じているだけなんだからな」 「あなたのような人間に、父親だと名乗る資格なんてないわ! 道具としか見ていないくせにっ!」