ポスト
暴れるヨを抱えて宮殿を出るところで、ジュと遭遇した。外套から出た長い藤色の髪に、雷に打たれたように立ち尽くす。ジュに教えるつもりのないビは、さっさと立ち去ろうとした。「兄さん、それは、まさか」ジュにとっても初恋の人だった。外套で隠されてはいるが、明らかに女性だ
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ビより遥かに小さく細い体は軽々と抱えられている。ああ、パが女ではないか、ビが女に夢中になっている、ジュに見に行くなと言った理由がわかった。あれは、ヨだ。ふわりと風が外套を揺らし、顔があらわになる。甘やかなかんばせは、生前の男の頃と変わらない。柔らかなラインになっただけだ