小値賀の宇々島、隣の大島から困窮世帯が一時的に移り住んで生計を立て直した所謂「困窮島」として有名ですが、大島は今でもPTAの会費を島民全世帯で負担していたりして、興味深い島なんですよね。 pic.twitter.com/ZSOVyJnSH8

以上で宇々島についてのツイートは終わりです。宇々島訪問に際し、大変お世話になりました小値賀町役場ご担当の方、大島総代のOさん、そして大島のKさんには、この場をお借りしてお礼申し上げます。 pic.twitter.com/CJP11GcEnG

社会が変わり、宇々島は自力更生の場としての役目を終えた。しかし、その歴史は困難な時代においても人々が協力し合い、共に生き抜いてきた証であり、現代にも多くの教訓を与えてくれる。『自力更生の島』その島にあった制度は、地域の誇りであり、未来へと引き継がれていくべき貴重な遺産であった。 pic.twitter.com/FDLzk3km4w

一方で、著名な民俗学者は宇々島の制度を困窮島と称する。大島、小値賀町本島での聞き取りでは、困窮島という言葉は聞かれず、自力更生と仰っていた。制度の見方によって変わってくるが、少なくとも地域の方々にとって、宇々島の制度は『困窮島』ではなく『自力更生』であり、その言葉に誇りを持つ。 pic.twitter.com/In1ElJeIn1

『自力更生』 しかしながら、何故宇々島の制度が生まれたのか。大島の記録には、宇々島は飢饉により享保八年開島とある。大島が飢饉という窮地に陥ったとき、島の限られた資源の中で生活に苦しむ者を助けるため、大島島民の知恵から生まれたと考えられる。では、何故250年も続けることができたのか。 pic.twitter.com/6UAxK5Fwh5

大島に戻り、宇々島から移された祠を見に行く。祠は神嶋神社境内に置いてあった。小さな祠だが、歴史の重みを感じる。その後、Kさんに大島を案内していただいた。島内は花々が咲き誇り、農地は綺麗に整備されている。島民の方に挨拶すると、皆さんは明るく返してくださった。やはり大島は優しい島だ。 pic.twitter.com/yD8nVlQs7n

『ボタン』 宇々島を離れ、船で島の南側に回り込む。洞穴内に島で唯一飲料水を確保できる場所があり、洞穴の岩から滲み出る水がボタンと落ちる様から『ボタン』と呼ばれた。風で接岸できず、海上から眺める。飲料水を汲むには崖を登り降りしないといけない。宇々島は人が暮らすには厳しい環境だった。 pic.twitter.com/n0l5EhQ2ex

ただ、移住者の努力次第では蓄えもできたとはいえ、宇々島での暮らしは全て自力であり、相当の苦労があったはずだ。自力更生の制度は、貨幣経済の浸透や都市化、生活格差の拡大により、S.39年を最後に移住が止まり、S.46年に廃止された。制度がなくなった今でも、大島には相互扶助の精神が息づく。 pic.twitter.com/ZHWOrgpdag

移住者は大島のムラ仕事を免除され、移住者の畑は大島島民が面倒を見た。一方で、移住者も墓掘りの監督など、大島の一員として勤めが与えられた。移住者は数年間で生活を立ち直らせて大島へ戻り、次の世帯が宇々島へと移住した。自力更生と言いつつも、自力を主とした相互扶助の制度であったと言える。 pic.twitter.com/CP6MJq7c03

島内部は、全てが緑に覆われていた。それでも宇々島は、今も名が知られている。250年続いた『自力更生』制度の存在ゆえである。大島での生活が苦しくなった1、2世帯を大島島民協議の上で宇々島に移住させ、宇々島の豊富な海産物の独占など、経済的に更生できる機会を提供して生活を立ち直らせたのだ。 pic.twitter.com/46GXVtBKGx

『水汲み場』 谷のどん詰まりに生活用水の水汲み場跡があった。宇々島には河川がなく、井戸もない。ゆえに、谷に滲み出る水や雨水を溜め込み、生活用水として利用した。脇には瓦が転がっている。Kさんによれば、これは祠の跡で、祠は大島に移されたという。祀っていたのは水の神様だろうか。 pic.twitter.com/MHEyxjV4cK

『朱い谷』 過去に、民俗学者の宮本常一氏も宇々島を訪れている。その時の写真に写っていた谷だ。宇々島には1箇所だけ谷があり、島内部への入口も兼ねている。砂利浜から谷へと進む。谷と言っても水気はない。土質は朱く、いかにも火山島という感じだ。かすかに残る道筋を辿って谷を詰めていく。 pic.twitter.com/DUldksoluh

上陸した岩場を乗り越えた先に砂利浜が広がる。敷石が敷かれ、沖合に向かって石が並ぶ。船を係留する場所がない宇々島では、昔はその都度敷石に船を引き上げていた。当然引き上げ用の機械類はなく、全て人力であった。沖合に向かって並ぶ石は波除けの痕跡で、以前はもっと沖合まで続いていたという。 pic.twitter.com/BMNlXQIMh9

宇々島の島影が島姿に変わった。海蝕崖がそそり立ち、人が暮らしていたとは思えない島だ。船は島に近づくが、風と波に弄ばれて接岸できない。Kさんはしばし思案した後、岩場にアンカーを投げて船を引き寄せた。飛び移っての声とともに岩場へ飛び移る。続いてKさんも上陸して同行してくださった。 pic.twitter.com/oyWRty1uot

宇々島には渡船も港もなく、島へ渡る手段は限られている。今回は、小値賀町役場と大島総代のOさんに協力をいただいた。Kさんの船は宇々島へと進む。天気予報では午後から風が強まる予想だったが、既に風が強く波が立つ。大島から宇々島まで直線距離で約600m。徐々に島影が迫ってくる。 pic.twitter.com/ETdyeTogCg

『大島』 小値賀町本島を経て、定期船で大島にやってきた。港には子供たちの元気な声が響く。ちょうど島の子供たちが本島へ向かうところだった。島民の方が集まり、笑顔でお話されている。柔らかな日差しと相まって、島には優しい雰囲気が漂う。ここからは、大島のKさんの船で宇々島へ向かった。 pic.twitter.com/bpHefiYVes

大小17の島々からなる長崎県小値賀町。宇々島（ううじま）は、その小値賀町本島から約1.3km、最も近い有人島の大島から約600mに位置する。面積は0.09平方km、特徴的な島の形は、2つの小火山が結合したものである。古くより大島の共有地として利用され、親島の大島、属島の宇々島という関係が今も続く。 pic.twitter.com/5teCZI5943

昔の航空写真に写る五島列島。どの島も隅々まで耕され、美しい島姿を映し出す。そのうちの一つ、海蝕崖に囲まれた小さな島に、耕作地と家屋が見える。この島こそが『自力更生の島』こと、宇々島という。それにしても、この小さな島でどうやって暮らしていたのか。答えを求めて、宇々島ヘと向かった。 pic.twitter.com/wHeGukRQ9D