#越絶書　尭・舜は聖人だったが、狼を任じて政事をすることはできなかった。管仲はよく人を知り、桓公は賢人を任じることができた。范蠡は患いを善く慮り、句踐はこれを行うことができた。君臣がこのようであれば、覇業を成さないことなどありえようか。

#越絶書　誠を内に行い、威を外に発したことで、越はその功績を専らにした。故に、越絶というのはこのことである。古い伝に言う 「桓公は妾の子であることに苦しんだことで、悟り知ることができた。句踐は会稽でとらわれたことで、覇者となることができた」

#越絶書　このとき、越は覇道を行い、沛は宋に帰した。浮陵は楚に付した。臨沂、開陽は、これを魯に復した。中国の侵伐はこの時から勢いがなくなった。

#越絶書　ここにおいて軍隊が徐州を渡り、貢ぎ物を周室に贈った。元王はこれをもって中興とし、号して州伯とした。これは専ら句踐の功績によるもので、王室の力ではないと思われる。

#越絶書　この時のことを言うことには、その去り方は甚だ忍びやかで甚だ密かであり、王がすでにこれを失うと、ついにまたまみえることは難しかった。

#越絶書　その時に、祠を建て、これを来世に伝え、長い年月に伝えた。隣国は徳を楽しみ、やってきてこれを取った。范蠡は内に視るのが盲者のようであり、反して聞くのは聾者のようでり、天関を渡り、天機を涉り、後には天人を下に敷き、前には神光を帯びた。

#越絶書　句踐はこれに告げて言った 「何とその通りであろうか」 ついに聞き入れて勝つことができた。越王句踐はそこで呉を平定することができ、貼るには三江を祭り、秋には五湖を祭った。

#越絶書　「危ういことです。王は計を失して、悪むところを惜しんでおられます。呉王の人は近づかず、不肖の者が去りません。もし言葉を卑くして土地をこれに譲り、天がもし彼を見捨てるならば、彼は必ず許すでしょう」

#越絶書　越絶巻第十四　越絶徳序外伝記第十八 昔、越王句踐は会稽で苦しみ、嘆いて言った 「私は覇業をなせない」 妻子を殺し、きそい戦い死のうとした。范蠡は答えて言った

#越絶書　そこで春申君を呉に封じた。幽王の後は懐王で、張儀にこれを殺させた。懐王の子は頃襄王であり、秦の始皇帝は王翦にこれを滅ぼさせた。

#越絶書　十年して、考烈王が死に、幽王が後を継いで立った。女環は李園を春申君を補佐させた。これを補佐して三年、そののち園に告げた 「呉を春申君に封じ、東の辺境に備えさせなさい」

#越絶書　考烈王は言った 「わかった」 すぐにこれを召した。考烈王は喜び、これを娶った。十月して、男子を産んだ。

#越絶書　あなたは慎重にお考えください」 春申君は言った 「わかった」 五日してこれを言った 「国内に美しい女がおります。相貌に従いますと、跡継ぎを続けることができます」

#越絶書　女環と通じて、月が終わらないうちに、女環は春申君に言った 「私は、王は老いて跡継ぎがないと聞いております。今、君の子を懐妊して一つ気になります。私を王に会わせるべきです。幸いにも男子を産めば、君はつまり王の父親です。どうして補佐でいることがありましょうか。