「どうした、暗い顔して」「行きたかったライブのチケットがさぁ、取れなくて」「アーン？」「人気なバンドだし一日しかねぇし、無理かもしれねぇとは分かってたけど、実際取れないと落ち込むよな」「……いつ、どこでやる、どのバンドの公演だ」「オマエ、絶対何かの力を使う気だろ？」 #一日一ベカミ

どこか遠くに行きたい気分だったから。「遠くに行きてぇな」って言ったんだ。そしたらさ、跡部何て言ったと思う？「なら海外だな、ちょうど三連休だから問題ねぇし今から手配させる」だってさ。「いやいや、急に何言ってんだよ」「遠出したいんだろうが」「まぁ確かにそう言ったけどさ」 #一日一ベカミ

「今日の月がめっちゃくちゃキレイだよな」「あぁ、今日は満月だそうだ」「そうなのか？あれ？でもチューシューの名月ってやつは昨日じゃなかったっけ？」「そうだが……オマエな」「ん？何だよ」「中秋の名月が何か分かってないだろ」「知ってるし！お月見して団子食うんだろ」「……」 #一日一ベカミ

「なあなあ跡部、これってなんて読むんだ？」「ん？イチジク、だな」「え、これでいちじくって読むのか…全然わかんねぇ」「まあ難読漢字の部類だろうな」「ま！読めなくてもいちじくは美味しいからいっか！跡部もひとつ食べないか？ドライいちじく！」「…くれるなら貰っておくけどな」 #一日一ベカミ

深司と電話してたから。跡部からの電話を取れなかった。だからちゃんとこっちからかけ直したのに。「折り返す」って切られた。んで、またすぐかかってきた。「タイミング悪かったか？」「いや？オマエに負担かけさせるわけにはいかないだろ？」「負担？」「電話代」「……あ、なるほど」 #一日一ベカミ

雨の降る前のちょっとした匂いが、実は嫌いじゃない。今から雨が降るんだなって分かるあれ。もちろん雨は嫌だけどな。濡れるし、走れなくなるし。でもほら、悪いもんではないんだよなって。恵みの雨とも言うし？「何で驚いた顔してんだよ」「そんな言葉知ってるんだな」「バカにすんな」 #一日一ベカミ

「あー」「急に大きな声出してどうした」「休みの日ってさ、何でこんなにあっという間に終わっちまうんだろうな」「そのセリフ、夏休みが終わる時も言ってたな」「おう」「楽しい時間は早く感じると言うからな、俺様との時間が楽しいってことだろ」「そうなんだよな」「素直じゃねぇの」 #一日一ベカミ

「俺はこっちの映画が見たい」「……この前も見ただろうが、それ」「何回見ても楽しいじゃん！元気出るし、これが見たい」「分かった分かった」「それ見終わったら跡部が見たいやつ見ようぜ」「ハイハイ」「あ、ちょっと待て！飲み物おかわりとお菓子追加するから」「忙しいやつだな」 #一日一ベカミ

「うーん、これって俺らだけで運べるか？」「誰か呼ぼうぜ」「あ、ちょうどいいところに。跡部ー！」「なんだ」「今からボールを運ぶんだけどさ、ちょっと人手が足りないから手伝ってくれよ！」「ちょ、神尾お前よりによって、」「仕方ねえなどこに運ぶんだ」「え！？」「サンキュー！」 #一日一ベカミ

跡部んちに行ったら、ウマいお菓子とかおいしい紅茶とか、ウマい飯とか、とにかく色んなもんが出てくる。全部跡部んちのシェフさんが作ってんだって。しかも、いつもいっぱい出してくれるだよ。スゲェよなぁ。「オマエがくるから張り切ってんだよ」「へ？そうなのか」「あぁ」「そっか」 #一日一ベカミ

さっきまで青空だったのに。急に暗くなって大雨が降り出した。「すげぇ」窓の外、向こうも見えないくらいだ。「帰れるかな」「そのうち止むだろ」「だといいけど」「止まなかったら家まで送ってやるから心配するな」「おぅ、ありがとな」何で驚いた顔すんだよ。お礼くらい言うっての。 #一日一ベカミ

跡部の家ではとろけるみたいな肉のステーキが出てくるんだけどさ、最初の一口は感動するけど食べ続けてると飽きるよな。脂たっぷりで太りそうだし。「俺様だって毎日あんなん食べてるわけじゃねえぞ。お前が来るってんでシェフたちが張り切ったんだ」「確かにたまにだからいいんだよな」 #一日一ベカミ

約束なんてしてないし、連絡もないんだけど。何か、今日は跡部がこっちに来る気がしたんだよな。だからさ、放課後、校門の前にあのでっかい黒い車が止まってるのを見た時、思わず笑っちまった。「連絡くらいして来いよな」いつも言ってんのに。お、携帯が鳴ってる。さっさと来いだって。 #一日一ベカミ

今のままじゃ勝てない。そんなことは分かってる。だから俺は跡部に何度でも挑戦する。「勝負しろ！」「ハイハイ」「今日こそは勝つからな！」「そう言って勝てなかったのは何度目だ」「うるせー！俺が勝つまでやるの！」「なるほど？いい心がけじゃねぇの」「ほら、早くコートに入れ！」 #一日一ベカミ

「あー、跡部だ」「お前そんなことろで何やってんだよ」「見てわかるだろ。寝転んで空見てんだよ」「なんでそんなことしてるのか聞いてるんだよ。さっきまで試合してたんじゃねえのか」「してたよ。なんつーか…もっと強くなりてぇなぁ」「…そうかよ。全力で努力しとけ」「…そーだな」 #一日一ベカミ

最近気に入ってる曲は、古いバンドの曲だ。テレビでたまたま流れてきたのを聞いてさ、ハマったんだよな。「でもさぁ、CDがなかなか売ってねぇの」「へぇ」「他の曲も聞きたくて、中古ショップで探してんだけど」「……手伝ってやろうか？」「マジで？じゃあ今からショップ行こうぜ！」 #一日一ベカミ

「不機嫌だな」「姉ちゃんがさぁ」「またケンカしたのか」「ケンカっていうか」「何だよ」「また跡部連れてこいって」「……へぇ、お姉様にお誘いいただいたなら、行かねぇわけには」「来なくていいからな」「アーン？」「絶対に来なくていいからな」「分かった分かった」んな顔すんな。 #一日一ベカミ

今日跡部んちで食わせてもらった、何かがすごく美味かったんだよな。跡部の好物らしいんだけどさ、なっがいカタカナの名前でさ。あんなの覚えられるわけないじゃん。美味かったけどさ。「つまり気に入ったってことか」「おう」「ならいい」「ん？跡部、何か嬉しそうだな？」「さぁな？」 #一日一ベカミ

「なぁ跡部！月見食べに行かねぇ？」「……月見？団子か？」「ちげーよ！ハンバーガー！」「……何だそれは」「え、跡部知らねぇの？今の時期限定のやつ」「知らねぇな」「ってことは食べたこともないよな？」「あぁ」「もったいねぇ！今すぐ行こうぜ！」「オイ、引っ張るんじゃねぇ」 #一日一ベカミ

ふわふわの生クリームにつやつやのイチゴ。断面も美しいし、デコレーションが精密。なんかよくわかんねーけど、メッチャ高そうなケーキが目の前にあることだけはわかる。「え、これ、食べて良いのか？」「お前のために用意したんだから食べろよ」「後で何か要求されない？」「しねぇよ」 #一日一ベカミ

跡部んちにタオルを忘れたんだけどさ。どうせまたすぐ行くし、置いといてくれって言ったんだよ。でもさぁ。「……わざわざ届けてくれなくても」学校の前に車乗りつけてさぁ。「アーン？優しさに感謝しろよ」「へいへい」「ほら、早く乗れ」「え」「出かけるぞ」「おい、ちょっと待て！」 #一日一ベカミ

「あっ！」「急に大きな声を出すな」いったい何だ。「うちの冷蔵庫にアイスがあるの、今思い出した」「……」「昨日、母さんが買ってきてくれててさ、風呂上がりに食べようと思ってたんだけど、跡部と電話してたじゃん？」「忘れてたのは俺様のせいだって？」「そんなこと言ってねぇし」 #一日一ベカミ

「ん？これって跡部の携帯だ。忘れていったのかな？」「跡部さんのだってよくわかったね」「だってアイツ常に最新機種持ってるもん」「……常に？」「それにこのストラップ、俺がお土産にあげたやつだからな。ちょっと跡部に届けてくる！」「いってらっしゃい。……常に最新機種…？」 #一日一ベカミ

ランニングで走ってる最中に、跡部から電話がかかっていたらしい。でも、気づいたのは家に帰ってからだった。取り敢えずかけなおしたら。「何をしてた」聞こえてきたのはすげぇフキゲンな声だ。「走りに行ってた」「……そうかよ」「うん、で、何？」「もういい」「は？」何だよそれ。 #一日一ベカミ

「で、神尾は何を落ち込んでるの」「ギャフンと言わされた」「ああ。また跡部さんに喧嘩売って負けたのか」「絶対に完璧な作戦だと思ったのに…」「神尾の思いつく作戦で跡部さんがどうこうできるはずがないだろ」「なにをー！？」「神尾もそう思うだろ」「うぐ…確かに…そうだけど…」 #一日一ベカミ

長い休みってのは、それはそれで楽しいし。ずーっと休みがいいよな、最高だよなと思うけど。久しぶりの学校もさ、やっぱり楽しいんだよな。勉強は嫌だけど。「……満喫したって？よかったな」「ん？どうしたんだよ跡部、フキゲンな顔してさ」「さぁな」「あ、もしかしてすねてんのか？」 #一日一ベカミ

「跡部っ、勝負しようぜ！」「なんだ。朝から随分と張り切ってるな」「ふふーん、昨日跡部に対する完璧な作戦を思いついたからな！今日は絶対に勝つ！」「…作戦程度で俺様をなんとか出来たら大したもんだが…まあいい、ちょっと遊んでやるよ」「見てろよ！ギャフンと言わせるからな！」 #一日一ベカミ

「跡部っ！跡部んちのでっかいテレビ貸してくんねぇ？あ、あとデッキも！」「貸すのはいいが、何を見るんだ」「ん？アクション映画！やっとDVDになったんだよ」「なるほどな……オイ、これは映画館で一緒に観たやつじゃねぇのか？」「そうだけど、それがどうかしたのか？」「いいや」 #一日一ベカミ

「こんな大雨ってなかなかないよなぁ」窓の外を眺めながら、つまらなさそうに神尾が呟く。「そうだな」ここまで降り続くのはなかなか経験がない。「夏休みも最後なのにさ」「迂闊に外に出るんじゃねぇぞ」「出ません」「ところでオマエ、夏休みの宿題は？」「……何の話？」「アーン？」 #一日一ベカミ

天気が悪いとテニスは満足にできないけど、それならそれで他の楽しいことをすればいいんだよな。「てなわけで跡部、カードしようぜカード！今日は勝てそうな気がするんだよな」「お前は運以前に感情が顔に出ない訓練をしねぇと俺様には勝てねえぞ？」「やってみなきゃわかんねーだろ！」 #一日一ベカミ

「……雨がスゲェな」バケツをひっくり返したような雨ってこういうのなんだろうなぁ、と言えば、跡部はチラッとこっちを見た。「何だよ」「オマエもそういった比喩表現を知ってるんだな、と思っただけだ」「ハァ!?それ、絶対バカにしてるだろ」「へぇ、気付いたのか」「ムカつくッ！」 #一日一ベカミ

自販機で買った飲み物が、全然冷えてなかったんだ。多分、補充されたばっかりだったんだと思う。「ついてねぇなぁ」「何を買ったんだ」「ん？炭酸」「……それは確かに冷えてねぇとウマくねぇな」「だろ？」「と言いながら飲むんだな」「そりゃそうだろ！ノド乾いてるしもったいないし」 #一日一ベカミ

「じゃーーん！」「……これは？」「台風の備えだ！」「俺には菓子の山にしか見えねえんだが？」「だって食べるなら美味しいほうがいいじゃん！」「…………そうだな」「せっかくだから今から食べちゃおうぜ！紅茶飲みたい！あの花の香りするやつ！」「…お前はどんな時でもお前だな」 #一日一ベカミ

最近気に入ってる曲を口ずさんでいたら。「……新曲か」こっちをチラッと見て、跡部は器用に片方の眉を上げた。「おう！俺が好きなバンドの、この前出た新曲！」「へぇ」「跡部も聞くか？それならCD持ってくるぜ！」「……あぁ、そうだな」「お？」聞くんだ？珍しいな。けどうれしい。 #一日一ベカミ

さっきまで晴れてたのに。急に空が曇ってきて暗くなった。「あ」降るかも、と思った瞬間には、大きな音を立てて雨が降り出す。「最近さ、こういう雨多いよな」「ゲリラ豪雨だな」「なぁ、やむまでここで待っててもいいか」「悪いなんて言うと思うか？」「思わないけど」一応さ、ほら。 #一日一ベカミ

「誕生日おめでとう」いつもより随分優しい声で言われて、なんだかくすぐったくって声に出して笑ってしまった。「なんだよ、人が祝ってやってんのに」「悪い悪い、ちゃんと嬉しいから。ありがとな？」一瞬むくれた顔をした跡部はひとつため息をついてまた優しい顔で目を細めてくれた。 #一日一ベカミ

別にさ、そんなの気にしなくていいのに、って思うけど。やっぱり日付が変わった瞬間に「おめでとう」って言ってもらえるのはうれしい。隣にいられるのはもっとうれしい。「ありがとな！」「あぁ」「あ、今日の予定なんだけどさ」「ちゃんと準備してあるから楽しみにしてろ」「おう！」 #一日一ベカミ

「何を見てるんだ」急に立ち止まって。「ん？これ」「……ヒマワリか」花屋の一角に飾られたそれらは、まるでこちらを見ているようだ。「そろそろ最後なんだってさ」「あぁ、なるほど？確かに時期はそろそろだな」「キレイなのにな」「……買ってやろうか？」「え？」「明日のためにな」 #一日一ベカミ

跡部んちで晩御飯食べさせてもらったあとさ、気づいたら寝ちまってたみたいで。「っ！ヤベッ！」起きたらこんな時間だった。「ワリィ！俺帰るな！」「泊まっていけ、もうお母様にご連絡はしてある」「へ？」「泊まっていけ」「……でも何も持ってない」「そんなこと気にしなくていい」 #一日一ベカミ

最近、ちょっとずつ日が暮れるのがはやくなってきた気がする。「……夏が終わろうとしてるんだなぁ」「どうした、随分感傷的じゃねぇの」「だってさぁ」「まだ一大イベントが残ってるだろうが」「へ？」「一番大事な日はまだだろ」「あ、うん」「楽しみにしてろ」「逆に怖いんだけど」 #一日一ベカミ