これらの史料から備前安養寺文書の砂藤左はおそらく明石飛騨守や備前明石氏に家老として仕えた砂子藤左衛門だと推察できると思う。但し史料が少ないためまだ断定は難しい。しかし少なくとも角南藤左衛門と改竄されたいくつかの論文は安養寺文書に書いてあるまま｢砂藤左｣と再度訂正されるべきだと思う

備前安養寺文書の砂藤左は角南藤左衛門ではなく、おそらく砂子藤左衛門です。 名字は｢砂子｣です。現在岡山県に住む30歳以上でこの地域に土地勘のある人は和気町と吉永町のあいだ金剛川に沿った道沿いに砂子コンクリートのタンクがあったことを憶えていらっしゃるでしょう。その砂子です pic.x.com/DauoG3upfn

次に備前安養寺文書の砂藤左を改竄した論文がこちら 『豊臣政権と宇喜多氏』 岡山県史 第6巻 (近世 1) 朝尾直弘 著 朝尾直弘は歴史学者で京都大学名誉教授。ここでは砂藤左を砂藤左衛門(角南)と改竄。金井圓氏の論文を参考に考察したのか記載がないためわからないが参考にしたんだろう pic.x.com/nNq7ocf5ED

そんな備前安養寺文書の砂藤左が、戦後になって突如改竄される。改竄した人物は歴史学者で東京大学名誉教授の金井圓。1959年に地方史研究に掲載された論文『織豊期における備前 - 太閤検地の地域性の一例 -』の中で砂藤左のことを角南藤左衛門と記述 pic.x.com/JZd0tt8yZJ

備前安養寺文書は江戸時代の岡山県の地誌(備陽記、備陽国誌、吉備温故秘録など)に掲載され、明治以降に編纂された和気郡史や藤野村誌にも掲載、いずれも砂藤左で角南藤左衛門と書かれていないです pic.x.com/381zKBOneM

備前安養寺文書 岡山県和気町の安養寺に伝わる中世の古文書 天正17年 正税帳 金重兵 砂藤左 砂宗左 就実大学 吉備地方文化研究所 2019年刊行 pic.x.com/mkhE07DVjE

宇喜多秀家の研究で使われることが多い和気町の安養寺に伝わる備前安養寺文書だけど、天正17年の正税帳に出てくる砂藤左という人物の名字は角南ではなくておそらく砂子(まなご)ですよ。だから砂藤左は角南藤左衛門ではなく、おそらく砂子藤左衛門ですよ。和気町や吉永町ではポピュラーな名字ですよ