実話ベース映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』は治安最悪ゴミ溜め場末酒場の空気が非常に良くて、『死の家の記録』みたいな安らぎを感じる。 実在する酒場が現在でもふてぶてしく「殺人鬼フリッツ・ホンカの部屋はココ⤴️」(別に部屋ではない)みたいな看板を引っ掛けて営業してるのも良い話。

『屋根裏の殺人鬼　フリッツ・ホンカ』は、殺人鬼の日常を淡々と描くブラックコメディ的な側面もありつつ、観客の自意識をもナイフでぐりぐりと抉り出してくるような、いびつではあるが一度観たら忘れられない不思議な磁力をもった映画だと思う。ひとにまったく勧めたくならないところも好き。

『屋根裏の殺人鬼　フリッツ・ホンカ』は、いわゆる「非モテ」や「弱者男性」について、きわめて切実な視点を与えている映画だと思う。容姿が醜い、他者から愛されない、という強烈なコンプレックスが、なぜか女性への憎悪、暴力、殺人に転じていくプロセスが描かれる。異様に不潔で不愉快な作品。