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（26日、第106回全国高校野球選手権愛知大会準決勝　東邦1―0杜若=延長十回タイブレーク） 　打席でバットを寝かせたまま、東邦・小西正人選手（3年）は相手野手の陣形を観察していた。 　タイブレークの延長十回無死一、二塁。初球、バントの構えからバットを引き、鋭く振り抜いた。バントを警戒する相手の裏をかくバスター。打球は前進守備の二遊間を抜け、サヨナラ適時打に。息詰まる投手戦にけりをつけた。 　バントは苦手だった。強みに変えようと、春から毎日、打撃練習の前に約5球、バスターの練習をした。内野手の動きを見て、その間に狙い打つ技術を究めた。 　「相手のチャージ（前進）が大きかったら、バスターに切り替えてもいいですか」。この日も十回の攻撃の前、ベンチで送りバントのサインを伝えられた時、山田祐輔監督に問いかけた。 　初球の前、けん制が入り、三塁手は大きく前に出た。遊撃手は三塁のカバーに動いた。二遊間が広く開いたのを見逃さなかった。大胆に見える殊勲打の裏には、地道な練習と、緻密に磨いた観察眼があった。 　目指すはもちろん甲子園。「絶対に行きたい。その気持ちは日本一」と力強く語った。（松本敏博）

朝日新聞デジタル-1時間前

（26日、第106回全国高校野球選手権愛知大会準決勝　東邦1―0杜若=延長十回タイブレーク） 　「バントで来る」。延長十回無死一、二塁。杜若の右腕・長塚陽太選手（2年）と捕手・北本祐規選手（2年）はそう考えていた。だが、東邦の先頭打者はバントの構えからヒッティング。打球はセンター前に転がり、互いに譲らぬ投手戦はサヨナラ負けで終わった。 　21年ぶりの4強に押し上げたのは、先発左腕の西脇光世選手始め、3人の2年生バッテリーだ。 　投手の西脇選手、長塚選手と捕手の北本選手は中学時代のクラブチームが同じ。「3人で（元プロ投手の）田中祐貴監督の指導を受けたい」と杜若へ進学した。 　この日、先発を任された西脇選手は「0点に抑えたら、先輩たちが打ってくれる」。疲れはあったが、六回まで被安打4、無失点に抑えた。途中、球威がなくなったことに気づいた北本選手が交代を促した。七回に継投した長塚選手も相手に流れを渡さず、許した安打は最後の一打だけだった。 　試合後、3人が思うのは3年生のこと。北本選手は「まだ一緒にやりたかった」と唇をかむ。手が届かなかった初の甲子園。先輩の思いを背負い走り出す。（渡辺杏果）

朝日新聞デジタル-2時間前