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第１０６回全国高校野球選手権大会第８日第１試合（１４日、健大高崎１－２智弁学園、甲子園）２回戦４試合が行われ、智弁学園（奈良）が今春の選抜大会を制した健大高崎（群馬）に２―１で競り勝ち、夏の甲子園通算３０勝目を挙げて２年連続の３回戦進出を決めた。エース左腕の田近楓雅（ふうが、３年）が８安打１失点１０奪三振で完投した。大阪桐蔭は小松大谷（石川）に０－３で敗れ、夏の甲子園で初めて完封負けを喫した。京都国際は新潟産大付を４―０で退け、西日本短大付（福岡）は菰野（三重）１３―０で大勝した。 粘って、粘り抜いて春の王者を撃破した。健大高崎の最後の打者、代打・川名を空振り三振に仕留めた智弁学園のエース田近は、何度も左こぶしを突き出して喜びを爆発させた。 「日本一になるために絶対に倒さないといけない相手。勝ててうれしいです」 一回に打者３人であっさりと１点を先制された。今大会から導入された「朝夕２部制」により７日の１回戦・岐阜城北戦を終えて宿舎に戻ったのは零時過ぎ。疲労が抜け切らず、この日は体が重く、中盤以降は足がつったこともあったという。最速１４０キロの直球は１３０キロ台にとどまった。 だが、簡単に崩れることはなく、追加点を許さない。支えたのは得意のチェンジアップだった。真っすぐと同じ腕の振りから「右打者は外に落とすイメージで、左打者は内に入ると危ないのでそのまま落とす」と巧みに軌道を操り、凡打の山を築いた。中でも相手の主砲、箱山主将は４打数無安打と抑え込み「箱山が打つと相手に勢いがつく。勝因の一つ」と胸を張る。 そんなエースの姿がナインを一つにさせた。１－１の九回２死一、二塁から決勝の適時中前打を放った佐坂は「あいつが１人で投げていて何とか一本出せて良かった」と涙を流した。 今大会は１回戦では九回に２点差を追い付き、タイブレークの延長十一回に粘り勝ち。この日は１点を争う僅差の勝負に競り勝った。これで夏の甲子園通算３０勝目。小坂監督は「一人一人が役割を果たし、いいチームになってきた」と目を細める。 『西の横綱』大阪桐蔭を破った小松大谷と激突する３回戦。チーム一丸で乗り越える。（月僧正弥）

サンケイスポーツ-11時間前

◇高校野球・夏の甲子園2回戦（14日） 　◇○智弁学園（奈良）2―1健大高崎（群馬）● 　序盤に互いに1点を奪うも、三回以降は両者一歩も譲らず、スコアボードには「0」が並ぶ。けりをつけたのは頼みのリードオフマンだった。 　チャンスはついえたかに見えた。九回1死一、二塁。智弁学園の送りバントは相手捕手の好守に阻まれて失敗。直後に打席に入った佐坂悠登（はると）は「初球から思い切り振っていくつもりだった」。その言葉通り、初球の真ん中に甘く入った変化球を中前にはじき返した。 　佐坂には「絶対打てる」との確信があった。マウンドにいたのは、五回途中に登板した健大高崎の石垣元気。2年生ながら150キロを超える直球と多彩な変化球を操る投手だ。 　この日は4打席を終えて無安打と振るわなかったが、石垣と対戦した七回の第4打席は「ボールがよく見えた」。結果は二ゴロだったが、手応えがあった。「対応できない速球は見逃してしまうことが多いが、150キロの直球にもファウルやゴロでバットに当てられた。これ以上の直球が無ければ次は対応できる」 　緊迫した場面でも、相手と自分の力を比べて分析できる冷静さがあった。「佐坂でダメだったら割り切れる」と、小坂将商監督から一目置かれるだけのことはある。 　その佐坂は試合後、なぜか大粒の涙を流していた。今春の選抜大会出場を逃すなどチームは本来の力を出せずにいた。「監督から甲子園に行ける確率は5％と言われた。やるべきことが分からなくなってずっと苦しかった」 　だが、甲子園の初戦では岐阜城北との延長十一回の接戦を制し、さらに2回戦では選抜王者の健大高崎から勝利を挙げた。 　「日本一練習してきた自信があるので、負けるはずがないと一戦一戦臨んでいる」。涙を拭い、次戦を見据えた。【磯貝映奈】

毎日新聞-1日前