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◆第１０６回全国高校野球選手権　岩手大会　▽１回戦　遠野緑峰２－５金ケ崎（１４日・きたぎん） 　岩手では部員５人の県立校・金ケ崎が、他校から部員を借りる「単独廃校ルール」で１回戦に登場。ドジャース・大谷翔平らを輩出した強豪・花巻東の強力助っ人５人と力を合わせ、遠野緑峰に勝利した。 　試合後の校歌斉唱に、２種類のユニホームが半分ずつ並んだ。白の金ケ崎の５人は、１８年以来６年ぶりとなる初戦突破の喜びをかみしめた。グレーのユニホームの花巻東の５人衆も、背筋を伸ばした。異例のチームが５―２で快勝。金ケ崎の千葉和馬監督（５７）は「練習試合でも競ったゲーム経験ができていた。私たちにとっても、花巻東の子たちにとってもプラス」と目を細めた。 　本来の金ケ崎の部員は３年２人、２年１人、１年２人の５人。秋まで連合チームを組んだ相手校の部員が増え、タッグが解消された。不参加のピンチ救済のため、他校から選手派遣を受けられる「単独廃校ルール」を、同県の夏では初適用。岩手県高野連の仲介で複数の高校に打診し、協力を申し出てくれたのが、部員１０６人の花巻東だった。 　直線距離にして２３キロ離れた２校は６月１日から土日に練習試合をこなし、結束を高めてきた。迎えた初戦。花巻東の１、２年生が１～５番を打ち、センターラインを固めた。本来は外野手の高橋朔太郎（２年）が小学校６年生以来というマウンドに立ち、最速１３９キロの直球を軸に７回３安打１失点。自身初の夏の大会に「花巻東で出られないのは悔しさもあるけど、秋に向けて良い経験」。花巻東勢が７安打中４安打で３打点をマーク。高橋から万谷（まんや）堅心（１年）につなぎ、反撃を封じた。 　“金ケ崎ファイブ”も負けじと、４―１で迎えた７回２死二、三塁で花巻東のメンバーから「打席の冷静さ」を見習ったという８番・阿部絢太左翼手（３年）がダメ押し打。三浦拓己主将（３年）は「声を掛け合ってチーム一丸でやるようにしてきた」と、胸を張った。 　スタンドには金ケ崎の全校生徒約１００人と保護者約１０人が集結。花巻東の保護者ら約５０人と後押しした。互いに勝ち進めば準決勝で花巻東と対戦。２回戦（１７日、花巻）は昨年準Ｖの盛岡三が立ちはだかる。「投手が強いので、少ないチャンスを得点につなげたい」と阿部。力を合わせ、一戦必勝で勝ち進む。（山崎　賢人） 　◆甲子園に近づいた連合チーム　２００６年夏の奈良大会では、斑鳩・法隆寺国際が決勝に進出。天理戦では連合チーム史上初の甲子園出場まで「あと２死」に迫ったが、１点リードの９回１死満塁、逆転サヨナラ負けに終わった。２０年秋の富山県大会では富山北部・水橋が４強。北信越大会にも出場し、２１年センバツ２１世紀枠の北信越地区候補校になったが、惜しくも落選した。 　◆単独廃校ルール　２０００年に日本高野連が取り入れ、２０１２年に改正された。部員不足の高校が、近隣の高校から部員を借りて大会への出場を認める特別措置。複数校から借りることはできない。適当な相手が見つからずに連合チームが組めない高校も、このルールの適用が可能。元の高校の部員数は５人以上必要で、合計１０人になるまで借りられる。選手は一つの大会では登録されたチームでのみ出場できる。

スポーツ報知-6時間前

◆第１０６回全国高校野球選手権千葉大会▽２回戦　千葉学芸５―２佐倉（１２日・船橋市民） 　千葉では、２メートルの長身を誇る千葉学芸の今秋ドラフト候補右腕・菊地ハルン（３年）が佐倉戦に先発し、今夏初マウンド。５回１安打無失点、無四死球の快投で初戦突破に貢献した。日米１０球団のスカウトからは将来性を評価する声が相次いだ。 　ほとんどの球児が“未体験”の高さから、白球が投げ下ろされる。身長２メートルの菊地しか描くことのできない軌道で、佐倉打線を５回１安打と封じ込んだ。「真っすぐと、同じくらいの高さから落ちるフォークが一番の武器です」と胸を張ったように、高身長だからこそ低めに落ちるボールも効果を増す。この２球種で空振りを奪い、三振は６個を数えた。 　カーブ、スライダーも自在に操り、雨が降る悪条件でも四死球ゼロ。ネット裏には日米１０球団のスカウトが視察に訪れたが「大型投手なのに器用で、制球の心配がない」とＤｅＮＡ・八馬アマスカウティングディレクターは評価した。佐倉の主将で３番を務めた田中佑二塁手（３年）は「上から来るのにかかわらず、最後に伸びてくる。打者の近くでボールが離される感覚もありました」と脱帽するしかなかった。 　プロから熱視線を浴びる規格外の右腕も、母・知恵子さん（５０）によれば誕生時の体重は３０５０グラム。それでも、身長１９０センチのパキスタン人の父と同じようにグングン背が伸び、小学校卒業時は１７６センチになっていたという。エネルギーの源は白飯と焼き肉で「お米は、直径３０センチほどの大きなお皿で山盛りを２杯食べます」と知恵子さん。菊地は「まだ、ちょっとずつ身長が伸びている気がします」と照れ笑いを浮かべた。 　この試合の最速は１４２キロ。変化球が多めだったが、高倉伸介監督（４９）は「『雨のピッチングをします』と菊地は言いました。指先が滑ったりすることを考えたんでしょう。そういう能力もあるんですよ」と明かした。「強豪と対戦する試合にピークを持っていけるように」。夢の甲子園へ、菊地は先々を見据えながら意気込みを述べた。身長２メートル右腕は、そのフィジカル面にとどまらず、多彩な魅力を持っている。（浜木　俊介） 　◆菊地　ハルン（きくち・はるん）２００７年１月２１日、千葉県生まれ。１７歳。市川八中では佐倉シニアに所属。千葉学芸では１年夏からベンチ入り。昨夏は成田との３回戦、佐倉との４回戦に先発し、５回２／３で失点５。憧れの選手は大谷翔平（ドジャース）。２００センチ、１０３キロ。右投右打。 　◆過去の主な長身球児 　▽宮城弘明（横浜商）　１９３センチの左腕。７９年夏の甲子園で４強。８０年ドラフト３位でヤクルト入り。「ジャンボ」の愛称で親しまれた。 　▽高山郁夫（秋田商）　１８８センチ、投手。７９年夏、８０年春夏の甲子園出場。 　▽ダルビッシュ有（東北）　１９４センチ、投手。０３年夏の甲子園で決勝進出。初めての優勝旗の“白河越え”を目指したが、常総学院に敗れる。 　▽大谷翔平（花巻東）　１９３センチ、投手。１１年夏、１２年春の甲子園に出場したが、いずれも初戦負け。 　▽藤浪晋太郎（大阪桐蔭）　１９７センチ、投手。１２年に甲子園春夏連覇。 　▽秋広優人（二松学舎大付）　２００センチ、投手・内野手。甲子園出場なし。３年時の２０年夏は東東京独自大会で８強。 　▽達孝太（天理）　１９４センチ、投手。２０年甲子園交流試合に出場、２１年センバツ４強。

スポーツ報知-2日前