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＜第106回全国高校野球選手権神奈川大会：慶應義塾2-4桐蔭学園＞◇18日◇5回戦◇バッティングパレス相石スタジアムひらつか 　昨夏全国優勝校・慶應義塾を4対2で下し、桐蔭学園がベスト8進出を果たした。 　先発した杉本 早由貴投手（3年）は、「トーナメントが決まった時から、この試合で自分がいくと決まっていた」と万全な態勢を整え、7回2/3、2失点で慶應義塾打線を抑えた。アンダースローから最速126キロの直球を武器にスライダー、カーブ、チェンジアップ、シンカーと多彩な変化球で相手を手玉に取っていく。「内と外に投げ分けて、自分の投げたい球よりも相手が嫌だと感じる球を投げ込んでいくのが強み」のスタイルで相手打線に反撃の隙を与えなかった。 　慶應義塾との対戦が決まってから対策を練ってきた。「少しでも甘く入ると力があるので打たれてしまう。それでも、自分のコーナーになげていくスタイルができれば結果もおのずとついてくる」と制球に細心の注意を払って投げ込んでいった。試合序盤はボールが先行し、「球は正直だなと思いました」とはにかんだが、その後は真骨頂の打たせて取る投球が光った。 　5回以降は体がつりながらも、水分補給や小まめな休憩などで疲労回復につとめて力投。途中でマウンドを譲った8回のマウンドは、「ずっと体がつっていた状態でこの日一番の辛い投球でした。それでもなんとか一球一球粘りの投球ができました」と振り返った。 　8回には主将の中村 流彗投手（3年）がリリーフで登板。先発のマウンドから降りるときには、「お前だったら絶対に大丈夫」とチームメイトを鼓舞した。エースナンバー「1」を背負うが、「後ろにいる投手陣も安定感があるので、自分も自信をもって投げていける」と仲間への信頼も厚い。「常にマウンドにあがる投手がエース」と片桐 健一監督の言葉を信条に、投手陣全員で一勝を掴みとった。 次戦は16年以来となるベスト4進出をかけて向上と対戦する。宿敵・慶應義塾撃破の勢いのまま、激戦区神奈川大会を制することができるのか。今後の戦いにも注目が集まる。

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＜第106回全国高校野球選手権神奈川大会：慶應義塾2-4桐蔭学園＞◇18日◇5回戦◇バッティングパレス相石スタジアムひらつか 　昨夏甲子園王者の慶應義塾が県大会ベスト16で敗戦。試合後の挨拶を終えると、主将の加藤 右悟捕手（3年）は人目をはばからず、大粒の涙を流した。 「1年間『日本一になる』と言って、小宅（雅己 投手・2年）やみんなと頑張ってきたんですけど、日本一になれなかったので悔しいです」 　夏の甲子園連覇を掲げていただけに、加藤は再三にわたって「申し訳ない」と、周囲の期待に応えられなかったことを悔やんだ。計り知れないプレッシャーと戦った中でも、「過程を大切にしながら結果を残さないと認めてもらえない」と語り、最後まで厳しい言葉を口にしていた。 そんな主将の支えとなっていた一人が森林 貴彦監督だ。 「森林さんの元で野球ができたことは、主将としてというよりも人として凄く成長できたので『ありがとう』という気持ちでいっぱいです」 「森林さん」と口にするときは、毎回のように言葉を詰まらせる。それだけ特別な存在だったと言動からも伝わってくる。 「いつも寄り添ってくれて、森林さんに一番恩返ししたかったんですけど……」 指揮官への思いを問われると感情が溢れ、涙をこらえることができなかった。 森林監督も、涙を浮かべながら加藤の活躍を称えている。 「『自分が野球をやってれば楽しい』と見えるような野球少年ですけど、これだけのチームを背負いながらそういう表情でやっていた。うちは主将に任せる部分も多いので、全国で一番大変なキャプテン業を1年間やったんじゃないかなと思う。もちろん成長した部分もあるけど、随分負担もかけたなと。ゆっくりねぎらってあげたいと思います」 話を終えようとした直後、すぐさま言葉を振り絞ってこう話した。 「甲子園に一人で行進させるのが心残りですかね」 聖地へ帰還を果たすことができなかったが、前年度覇者として優勝旗返還を行う加藤の姿も目に焼き付けたいと思う。

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