Yahoo! JAPAN

筆者が四国の高校野球取材にかかわって15年以上が経つが、今年の愛媛大会はその中で最も苦しい日程が続く大会だろう。 　7月13日の開幕日は開会式こそ予定通り開催されたが、松山市内で3名の尊い命も失われた断続的な降雨により、開会式直後の1試合が流れ、翌日は全試合が中止順延となった。 　3日目以降も坊っちゃんスタジアムでの第1試合が継続試合となった以外はすべて中止となったことにより、愛媛大会は1試合も試合終了のサイレンを聞かないまま、都合3日間の順延を強いられることになってしまった。さらに坊っちゃんスタジアムに限っては4日目も継続試合を行ったのみで第2試合以降は中止。よって現状の決勝戦は当初予定から3日遅れの7月30日（火）となっている 　18、19日は無事に予定の日程を消化し、1回戦全試合を終えたことでようやく一息ついた形だが、今後1日でも中止順延があると「休養日を削ることも考慮に入れざるを得ない」（愛媛県高野連・松浦 彰浩理事長）状況だ。 　度重なる順延、日程変更は選手たちや応援にも影響を与えている。 　新居浜南・三代 哲平監督は、松山中央に敗れた試合後のミーティングで「試合が2日流れて、16日はバスに乗って『さあ行こう』というときに中止。お前らも相当きつかったと思う」と選手たちを慮り涙した。 　また、県最南端にある南宇和は3日目の第2試合開催予定が開始直前で中止となると、順延試合は翌日8時45分開始の第1試合に。よってチームは中止が決まると一度学校に帰った上で翌朝4時半集合、5時出発を余儀なくされた。試合中止決定後にも名残惜しげに演奏を続けていた応援の生徒たちは、ついに試合を生で見ることができなかった。 　甲子園出場経験を持つ指揮官たちもこの状況に苦しんだ。「天からの準備期間、成長する期間ができたと思って、練習をしてきた」（荷川取 秀明監督）という松山聖陵は、選手の動きが概して重く、伊予農に苦しみながら初戦を突破。初戦を快勝で飾った新田・岡田 茂雄監督も「泥まみれになりながら躍動しないといけない」と調整の難しさを求めている。 　20日（土）から始まる2回戦で松山商、今治西、済美、小松のシード校はじめ、初戦を迎える各校がどのような状態でグラウンド上に現れるのか。 　年々厳しくなる暑さと天候の急激な変化に対応するためにも、今後の大会運営には多角的な視点から検討が加えられるべきだろう。ただ、その軸は「球児のために」。ここははっきりしている。 　最後に開会式で新居浜工主将・合田 陸（3年）が発した選手宣誓全文を掲載したい。雨が止んだわずかに時間に放たれた彼の言葉を胸に刻むとともに、この夏の大会が無事終えることを願いたい。 宣誓 わたしたちは野球と出会い　多くの時間を野球とともに過ごしてきました。 そして今、夢の甲子園に立つための第一歩、ここ坊っちゃんスタジアムに立っています。 わたしたちは今、野球ができることに幸せを感じています。 支え合った仲間たち　はげまし見守ってくれた家族や指導者、応援してくれる全ての方々に感謝の気持ちを込めて届けます。「感動」、「勇気」そして「笑顔」を。 白球をがむしゃらに追い続け、全力で野球を楽しみ、この愛媛を熱い夏にすることを誓います。 令和6年7月13日 選手代表 愛媛県立新居浜工業高等学校　野球部主将　合田陸

高校野球ドットコム-23時間前

◇第106回全国高校野球選手権東東京大会4回戦　関東第一8―0都足立新田（2024年7月19日　都営駒沢） 　関東第一のプロ注目右腕・坂井遼（3年）が好救援で、チームを16強へと導いた。4回から2番手で登板し、3回を1安打無失点。最速は146キロを計測し、5三振を奪った。 　「感覚的には良かったが、修正点もあったのでもう一度調整したい」。6回には2四球で1死満塁を招いたが、慌てない。「気持ちを切り替えられた」と後続を2者連続三振で切り抜けた。最速149キロのエースは春夏連続出場へ向け「ゼロに抑えて、流れを持ってくる投球ができたら」と覚悟と責任感をにじませた。 　広島、巨人など6球団が視察。広島・尾形佳紀スカウトは「真っすぐも走っていて、スライダーの切れもいい。将来が楽しみな選手」と評価した。（鶴田　杏子）

スポニチアネックス-1日前