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◆第106回全国高校野球選手権鹿児島大会決勝　神村学園8―0樟南（27日・平和リース球場） 　最後は3者連続三振で締めくくった。9回無死満塁から2人を三振で抑え、ウイニングショットは自己最速を更新する144キロのストレート。神村学園の左腕エース今村拓未（3年）が強豪・樟南を相手に完封勝利を挙げ、昨夏から3季連続甲子園出場を決めた。「試合で勝ったという喜びが強くて。後からだんだん甲子園を決めたんだという実感がわいてきました」。今村は仲間と抱き合い、ようやく聖地に帰れる実感をかみしめた。 　6安打を許したが8奪三振で樟南打線を封じた。最後は2四球と安打で無死満塁のピンチを招いたが「細かいことは考えず、気持ちで。もう技術じゃなくて気持ちで投げました」と直球を中心に攻めた。140球を力投したエースに小田大介監督は「変化球でカウントを取れたし、勝負どころでは真っすぐで勝負できた。投球がしっかりしていたので守備も応えていた。ストライク先行でいけたから攻撃のリズムができて、いい形で加点できた。なかなか良かったと思います」と味方を勝利に導いた投球をたたえた。 　甲子園に戻りたい気持ちは誰よりも強かった。昨夏の甲子園は2回戦の市立和歌山戦で先発したが、1回に3四死球を出し2死満塁のピンチを招き交代。春の2試合は左肘を痛めて万全ではなくリリーフで短いイニングを投げた。「甲子園はどんな状況でも冷静にならなくてはいけない場所。ピンチになれば頭が真っ白になるので、冷静さを保つのが一番大事」。思ったような結果が出なかったあのマウンドにもう一度立って、エースとしての投球を見せたかった。 　夏の大会でチームを勝たせるエースになるために小田監督はあえて今村を突き放した。選抜大会後、調子が上がらない今村を九州大会、NHK旗のベンチから外した。「力んだり、気が抜けたり、落ち着いてきちっと投げることが難しく、使える投手ではなかった。夏の大会にコンディションを合わせなさい、調子が上がらなければメンバーを外すとはっきり言いました」。チームから離れた今村はランニングやダッシュ、ジャンプ系のトレーニングなどで一から体をつくり直した。「夏は技術じゃなくて気持ち」と自分に厳しく練習に励むことで精神的な強さも身に付けた。 【次ページに続く】エースの覚悟 {page} 　この夏は4試合、20回⅔を投げて無失点のまま大会を終えた。「大人になったところを少し見られた。いい準備をしてきた結果だと思う」と小田監督ははい上がってきたエースを褒めた。 　昨夏は先輩たちが連れて行ってくれた甲子園でベスト4まで駆け上がった。今年はエースとして自分がチームを上位へ連れて行く。目標はもちろん、昨夏を超える頂点。「神村学園のエースはどんな場面でも抑えなくてはいけない」。エースとしての覚悟を持ち、最高の舞台で1年間の成長を見せる。 （前田泰子）

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