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◆第１０６回全国高校野球選手権大阪大会▽２回戦　大体大浪商１０―０桃山学院＝５回コールド＝（１４日・大阪シティ信用金庫スタジアム） 　大阪大会では、甲子園通算３２度出場、４度優勝を誇る大体大浪商（旧浪商）が、桃山学院を１０―０と圧倒し５回コールドで大勝発進した。ＮＰＢ歴代最多３０８５安打の元巨人・張本勲氏（８４）らＯＢの米、肉類の差し入れでパワー注入。創部１００年を迎えた節目の年に、４５年ぶり夏の聖地を目指す。 　“名門・浪商”の夏が幕を開けた。１番の隅野海祐（あゆ）左翼手（３年）が４安打とけん引するなど、打線は９安打１０得点。３回に一挙８得点で流れをつかんだ。投手陣も完封リレー。投打で圧倒した。昨秋就任したＯＢの中村好治監督（７０）は夏１勝。初戦の硬さを感じつつ「いいときは勝つ度に学習していくので、それなりに成果があった」とうなずいた。 　春夏４度の日本一を達成しながら、夏の甲子園出場は、牛島・香川のバッテリーを擁した１９７９年までさかのぼる。１４年夏の甲子園で三重高を準Ｖに導いている中村監督は「大阪桐蔭や履正社の選手の中学のイメージが強く、自分がうまくなっているのに、そういう面がものすごく妨げていた」と、選手らが気後れしていた点を指摘。就任後から意識改革に努めた。昨秋の大阪大会準決勝では大阪桐蔭に４―５と善戦。「今までのイメージが薄れてきたのは大きい」と手応えを得た。 　創部１００年を迎え、グラウンドには激励のため多くのＯＢが訪れる。新チーム発足後、張本氏ら数人のＯＢから米３００キロ超、牛肉ヒレやサーロインそれぞれ３０食以上が届いた。「身に余る差し入れを頂きました」と指揮官。ナインは昨秋以降の体づくりに生かした。 　張本氏が２１年まで出演したＴＢＳの情報番組「サンデーモーニング」（日曜・前８時）で「あっぱれ」と称賛し、「喝」とダメ出ししたシーンは有名。母校を訪れた際、「『喝』と言わせないように」と中村監督を激励したという。奥野諦河主将（３年）は「甲子園に出ることが一番、ＯＢや周りの方への恩返し。絶対、達成したい」。目指すは、同校野球部と同じく“１００歳”を迎える夢舞台の甲子園球場だ。古豪の復活劇が始まる。（瀬川　楓花） 　◆１９７９年夏の浪商　準優勝したセンバツから２季連続甲子園出場。のちに中日、ロッテで通算１２６セーブの牛島和彦、「ドカベン」の愛称で親しまれ南海、ダイエーで同７８発、２７０打点の香川伸行のバッテリーを擁した。１回戦で上尾（埼玉）との延長戦を制し、倉敷商（岡山）、広島商、比叡山（京都）を連破。準決勝で池田（徳島）に０―２で敗れた。その後、聖地出場は０２年春（２回戦敗退）１度のみ。

スポーツ報知-9時間前

苦しみ抜いた末、夏の1勝は格別だった。広島東洋カープに選手、コーチとして在籍し、昨秋から瀬戸内を指揮する永田利則監督。初戦となった13日の安芸南戦でタイブレークの延長十回、4点差を逆転し、サヨナラ勝ちを飾った。選手を出迎える際には感情がこみ上げ、涙をぬぐった。 　一回に2点を先制し、2―1の三回にも2点を加えてペースを握った。しかし中盤以降、無得点が続くと九回に4―4に追い付かれ、延長戦へ。十回には継投が崩れ、4点リードを許した。消沈してベンチに戻ってきたナインを永田監督は「打つしかなかろう!」と鼓舞。崖っぷちで目覚めたナインは4安打を集中して追い付くと、最後は途中出場の信藤の一ゴロが野選を誘い、劇的な勝利を手にした。 　「こんなはずじゃなかった。自分たちで試合を難しくして。前日の打撃練習でもみんな本当に調子がよかったのに。でも、これが高校野球。最後は全員でつないで勝った」。永田監督は喜びをかみしめた。 　1980年、広島商からドラフト2位で広島入団後、生きてきたプロの世界。高校生の選手にはコーチとして間近で接してきた。「鉄人」金本知憲氏、現広島新井貴浩監督の猛練習ぶりを伝え、「やればできるんよ。今までやってきたことしか試合ではできん」と選手を励ましている。 　春夏通算5度の甲子園出場を誇る瀬戸内を率いる重圧もある。「初戦で負けていたら大変なことになっていた。でも次の試合から気は引き締まる。勝ってよかった。試合を重ねていくことで私も分かっていくことがある」。62歳の新監督は一戦ずつ、選手とともに成長を誓う。

中国新聞デジタル-1日前