Yahoo! JAPAN

＜第106回全国高校野球選手権埼玉大会：山村学園 6-3 聖望学園＞22日◇5回戦◇県営大宮球場 「今日実は4回くらいで疲れちゃっていたんですが、5回くらいから急に疲れがなくなって。ゾーンに入った感覚があった」と証言するのはプロ注目最速146km左腕・西川 歩（3年）。 　県営大宮球場・第2試合は、最激戦ブロック、西川擁するBシード・山村学園 vs 昨秋ベスト8の聖望学園という西部地区の雌雄を決する対決が実現。 　先発は山村学園がその西川、一方の聖望学園はエース左腕の向深澤 要（3年）ではなく川越東戦以来となる背番号10の右腕・嶋津 寿樹（3年）が登板し試合が始まる。ただし、嶋津は「前回の登板時に血豆を潰し万全ではない」（浮中監督）とのことで早めに西川を早めに攻略し勝負を決めたい所。 　対する山村学園は岡野監督が予めとにかくこの5回戦、この聖望学園戦に全てを賭けていた。西川の先発・完投も示唆していた。 　先制したのはその山村学園。 　初回、聖望学園・嶋津の立ち上がりを攻め、「打てる順に並べている（笑）」（岡野監督）という山村学園の上位打線、2番・横田 蒼和（2年）、3番・藤原 将輝（3年）、4番・吉田 翔大吾（3年）の3連打で幸先良く1点を先制する。 　投げては 山村学園のエース西川が初回からフルスロットル。それでも初回2番・小泉 三四朗（3年）、3番・齋藤 千風（3年）に連打を浴び一死二、三塁とされるも、そこから4番・中村 アラシュ（3年）、5番・向深澤から連続三振を奪うなど強打の聖望学園打線に対し、6者連続三振と絶好調。ただ、同時に前回の大宮東戦と比べやや飛ばし過ぎな印象を受けた。 　案の定であった。 　打順が2巡目を迎えた聖望学園は3回裏、一死から1番・中條 和也（3年）が四球で出塁すると、続く小泉がライト前ヒットを放ち一死一、三塁とする。二死後、4番・中村との勝負を避け二死満塁とするが、続く向深澤の強めのショートゴロをショートが弾きまず2点、さらに6番・小槻 修也（3年）がレフト前ヒットを放つと今度はレフトがファンブルするなど聖望学園が一気に3点を奪い逆転する。 　ただ4回以降は「打たせてとる所、三振を取りに行く所とボールにメリハリをつける」ことを意識した西川は、聖望学園打線を封じていく。 　それに対し聖望学園打線はギアが上がったと表現。 　すると、山村学園は中盤以降ジワジワと反撃を開始する。 　5回表、3番・藤原がセンター前タイムリーを放ち1点差とすると、8回表にも代打・吉岡 京祐（3年）がセンター前タイムリーを放ちついに3対3の同点。 　8回あたりからボールが制御できなくなっていた聖望学園・嶋津に対し、勢いを得た山村学園は最終回、この回先頭の西川が右中間へのヒットで出塁すると、一死後、田中 大貴（3年）も四球を選び一死一、二塁とする。ここで2番・横田が右中間へ値千金となる2点タイムリー三塁打を放つと、中継が乱れる間に打者走者・横田も一気に本塁へ生還し6対3と再逆転に成功する。 　投げてはエース西川が結局9回12奪三振3失点（自責0）と完投勝利を飾る。 　山村学園が6対3で聖望学園に勝利しベスト8進出を決めた。 　試合後ベンチ裏でうずくまり泣きじゃくる嶋津。それを慰める主将・齋藤。 　聖望学園は、「西川君の対策は立てていたんですが、後半は球が全然違いました。なかなかバントもさせてもらえず、顔の高さのボールを振っていたので、それだとエンドランも仕掛けにくい。向深澤は肘の状態が悪く、タイブレークまで投げさせる予定はなかった。嶋津で9回完投で最初からと決めていた。本来嶋津は100球投げてから良くなる投手なんですが、今日は力尽きましたね。満身創痍の中よくベスト16まで来た」と浮中監督も述べたが、終盤の西川にはお手上げだったそうだ。中村を筆頭にポテンシャルは県内随一。噛み合えば上位進出も狙えたが、今大会は投手陣のアクシデントが最後まで大きく響いた。 　一方の山村学園は聖望学園に夏・初勝利。 「西川は良かった。これまで個人的に聖望さんと川越東さんと市立川越さんに散々いじめられてきて、やっと勝てました。正直今回も嫌なくじ引いてきたなと思っていたんですがまず一つ大きな山を乗り越えた」と、岡野監督も感慨深げ。 　一方の西川は「初回に甘く入ってヒットを打たれてピンチを作ってしまって、3回も自分の四球が悪いと思っているし、上でも通用しない。疲れていてもホップ成分のある球を投げられると思うので、普段から7、8割で投げることを常に意識している。聖望さんは高めの直球が来たら振ってくるのは映像で見ていた」と、12奪三振にも反省することを忘れず冷静に振り返る。 　打倒・花咲徳栄へ最大の関門を超えた山村学園。とはいえ、次の東農大三戦もあまり相性の良い相手ではない。当たり前だが、西川の投球が今後の山村学園の命運を握るに違いない。強打の花咲徳栄打線に対し、いま一度ゾーンに入った西川との対決は実現するのか。大会全体の行方をも占う楽しみな存在である。

高校野球ドットコム-1日前

＜第106回全国高校野球選手権埼玉大会：叡明7-0川口青陵(7回コールド）＞20日◇4回戦◇越谷市民球場 　いよいよ埼玉大会もベスト16を目指す4回戦の戦いとなった。 　学校が越谷レイクタウンへ移転した2015(平成27)年に、小松原から校名変更した叡明。この校名も、徐々に定着してきた。昨夏もベスト16で、5回戦に進出している。今大会では2回戦で飯能に12対5、3回戦では強豪市立川越に10対0と、いずれもコールドゲームで下すなど好調である。 　これに対する川口青陵、2回戦は川越に2対1、3回戦は草加に5対4といずれも1点差で競り勝ってきており、粘り強さが身上である。そんな両校の対戦だ。 　叡明は初回に二死三塁から4番吉川鳳稀選手(3年)の三塁打で先制し、さらに5番中野天晴選手(3年)のタイムリー打で2点を先取。それでも、川口青陵の先発石井蒼人投手（3年）は、緩い球を上手に使いながら2回、3回を抑えていく。叡明打線としても手こずっていたが4回一死から中野選手が左翼線二塁打して、重くなりかかった空気を打ち破った。 　四死球で満塁となったところで叡明は、8番小澤大輝捕手(3年)が右前へポトリと落とす安打で追加する。さらに、併殺崩れでもう1点。5回には2人目となった川口青陵の加藤蓮珠投手（1年）を攻めて3四球と暴投で加点。7回にも2点を追加して、コールドゲームとなった。 　叡明の先発・安藤由貴投手（3年）は、今大会初登板ということだったが、落ち着いた投球で6イニングを被安打1四球1無失点で抑えた。中村要監督も、「初登板ということを考慮しても、80点はあげていい内容だった」と、合格点を出していた。 　 川口青陵としては、6回までは三塁へ走者を送ることもできず、ほぼ一方的な内容でもあった。終わってみたら3安打で、チャンスらしいチャンスも作ることが出来なかった。 　叡明の応援スタンドはブラスバンドやチアリーダーも入って、華やかに盛り上がっており高校野球のいい雰囲気の応援スタンド風景を展開していた。学校としても、野球部を応援していこうという体制も、徐々に盛り上がってきているようだ。中村監督も、「ここから先に行くことで、また、別の景色を見ることが出来るし、それを経験させてあげたい」という思いである。

高校野球ドットコム-4日前