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第１０６回全国高校野球選手権大会埼玉大会（２６日、花咲徳栄３－１山村学園、県営大宮公園）九回２死。花咲徳栄はエース右腕・上原堆我投手（３年）がこの日最速の１４６キロの直球を投げ込み、弾き返された打球を捕るとガッツポーズを決めてから一塁に送球した。１失点完投で山村学園を下し、決勝に駒を進めた。 「ここぞというときに腕が振れた。今日は完投しかないと思った」 １１１球、４安打、７奪三振。公式戦では自身初の９回完投に充足感を漂わせた。準々決勝の西武台戦は先発して５回無失点で降板すると、８－０の七回に救援陣がよもやの７失点。延長十回タイブレークの末に冷や汗で勝利しただけに、この日はエースのプライドを懸けてマウンドに仁王立ちした。 昨秋から県内無敗の１６連勝中。岩井監督は「上原は力を入れるところは入れて、抜くところは抜いていた。決勝はつないでつないで、思い切りやりたい」。２８日の決勝は昌平との顔合わせ。５年ぶり８度目の夏の甲子園出場へ、全員野球で挑む。（赤堀宏幸）

サンケイスポーツ-5時間前

（26日、第106回全国高校野球選手権埼玉大会準決勝　花咲徳栄3―1山村学園） 　山村学園はエースの西川歩（3年）が完投した。1―3で迎えた六回表、花咲徳栄の先頭打者にヒットを許すと、暴投と犠打で三塁まで進められた。二回以降は無失点に抑えていたものの、ここまでで6四死球。昨秋、今春の県大会準決勝で負け続けた相手に対し、「緊張で、硬くなってしまっていた」。 　だが、2球目を投げようと左腕を振り下ろす直前、三塁走者が走り込んで来るのを右目の端で捉えた。 　「スクイズだ！」 　直球を、とっさに一塁側に大きく外してリリースした。捕手の藤原将輝（3年）が左手をめいっぱい伸ばして受け止め、三塁走者をタッチアウトにした。スタンドからは歓声が湧き、喜びをかみしめた。 　「ここから一気に体が軽くなって、腕が振れるようになった」。既に100球近く投げていたが、疲れを感じなくなった。「ゾーンに入った」と西川は表現する。七回以降は二塁を踏ませなかった。 　秋は中盤に連打を浴びて負けた。リベンジを誓って挑んだ春は、九回1死から3四死球を出して逆転負けした。自分に何が足りないかを考え、「食トレ」に取り組んだ。 　元々小食だったが、母に間食用のおにぎりを毎日10個握ってもらい、苦しくても食べ続けた。秋から体重は7キロ増え、平均130キロ台後半だった球速が140キロ以上出るようになった。9回を万全な状態で投げきる体力もついた。 　秋、春は2桁安打を浴びていたが、この日は5安打に抑えた。「成長したなって、自分でも思います」岡野泰崇監督は「ベストピッチです。別人のように成長した」とたたえた。 　それでもやはり悔しい。大会直前、大好きな祖母を肺炎で亡くした。西川の活躍を誰よりも楽しみにしてくれていた。「おばあちゃんのために、甲子園に行きたかった」。ここまでこらえてきた涙をこぼし、それ以上は言葉が続かなかった。（山田みう）

朝日新聞デジタル-5時間前