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（25日、第106回全国高校野球選手権富山大会準決勝　富山商4―0高岡第一） 　九回裏2死一塁。高岡第一の上坊寺蓮仁（れんと）主将（3年）はレッグガードを着け、ベンチで代打の準備をしていた。だが打者が打ち取られてゲームセット。打席に入ることはなかった。 　右の好打者だ。4番で打線の中心だった。しかし、アクシデントが襲う。春季県大会が終わって最初の練習試合、上坊寺主将の打球は右中間を深々と破った。外野手が処理をもたついているのをみて、「ランニングホームランにしよう」と一気に加速した。 　三塁を回って１歩目を出した瞬間、「バチン」と大きな音がした。右足に激痛が走り、その場で倒れ込んだ。アキレス腱（けん）断裂。「最後の夏は（出られずに）終わったと思いました」。ベンチで泣き崩れた。 　あれから2カ月。状態はよくなりつつあるが、全力プレーはできない。それでも出場をあきらめきれない。そんな気持ちを分かっているメンバーは治癒を信じ、「勝ち続けて甲子園に一緒に行こう」と誓った。 　点差が縮まらない試合の終盤、上坊寺主将は村本忠秀監督に「代打で出してください」と直訴した。ベンチ裏でバットを振って出番を待った。村本監督は「頑張ってきた彼のために打席に立たせてあげたかった」。しかし、その機会は訪れなかった。 　けがの後、上坊寺主将は自暴自棄になったという。「でもみんなが支え、励ましてくれた。感謝している」。野球に未練がある。「大学で続けます」と話した。（前多健吾）

朝日新聞デジタル-8時間前

（25日、第106回全国高校野球選手権富山大会準決勝　富山商4―0高岡第一） 　9回167球を投げきった高岡第一のエース大門穂高投手（3年）は試合後、泣き崩れた上坊寺蓮仁主将（3年）を抱き起こして慰めた。主軸の好打者ながら、けがで出番がないまま敗退。一緒に甲子園で試合をするという目標はかなわなかった。 　大門投手は試合後、「悔しい……」とこぼした。4点を失ったものの、富山商打線相手に9奪三振。富山商の前崎秀和監督が「彼の一球にかけた執念は素晴らしかった」とたたえる気迫だった。 　準々決勝まで3試合17回3分の1を投げて防御率は0・52。2日前の準々決勝も五回コールドの試合を投げきっての連投だった。 　高岡第一の村本忠秀監督は「よくやってくれた。大門が背負ってきたチーム。点をとってやれたら」と思いやった。大門投手は「上坊寺主将を甲子園に連れていけなかったのは申し訳ないが、このチームで戦えてよかった」と球場を後にした。（朝倉義統）

朝日新聞デジタル-9時間前