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第106回全国高校野球選手権茨城大会は、昨夏準優勝でBシードの霞ケ浦が投手力を生かした戦いぶりで制し、5年ぶり3度目の夏の甲子園出場を決めた。95校88チームが熱戦を繰り広げた今大会を振り返る。 霞ケ浦は大会を通して成長し、勝ち上がってきた印象だった。「チーム状態がどん底」と高橋祐二監督(64)が評する中迎えた初戦の太田一戦では、序盤に2点を先制しながらも、八回に同点を許し九回サヨナラ勝ちの辛勝。しかしこの一戦を機に「選手たちの顔つきが変わった」と高橋監督は話す。続く3、4回戦をコールド勝ちとし、勢いに乗った。 決勝では昨夏の悔しさを晴らすかのように、ナインは躍動した。エースの市村才樹(2年)が先発し試合をつくると、四回、羽成朔太郎(3年)の二塁打から中軸が機能し先制。終盤3点差に詰め寄られるも羽成のダメ押しの適時二塁打で突き放し、きっちりと勝ちきった。羽成は昨夏も中軸で出場し、今年は主砲として期待される中、決勝まで長打はゼロ。それでも決勝では2本の二塁打を勝負どころで放ち、雪辱を果たしてみせた。 優勝後に「勝てたのは非常に大きかった」と高橋監督が振り返った準々決勝の鹿島学園戦では、市村が強力打線に対し1失点完投。4回戦の水戸商戦に先発し4回1/3で3失点も、見事な修正力で勝利に導いた。 今大会、市村以外の投手陣の貢献も光った。4投手が登板し、準々決勝以外は継投で勝ちきってきた。その中でも輝きを放ったのは真仲唯歩(3年)だろう。5試合に登板し防御率は0.68。救援として出場した4試合は無失点と役割を果たした。準決勝では乾健斗(同)と継投し、今大会猛打を振るっていた守谷打線に対し無安打2奪三振。決勝では市村が3失点した直後の八回途中から登板して無失点で切り抜け、優勝へ導いた。 打線の奮起も決勝で光った。羽成はもちろん、5番に座った大石健斗(2年)も3打点と躍動、今大会打率4割超の鹿又嵩翔(同)、森田瑞貴(3年)も打点を挙げ、逆転を許さなかった。 チームの目標は先輩たちが成し得なかった「甲子園で校歌を歌うこと」。どん底から勝ち上がってきた今大会の彼らの姿を見れば、決して夢物語ではない。

茨城新聞クロスアイ-19時間前

（27日、第106回全国高校野球選手権茨城大会決勝　つくば秀英3―9霞ケ浦） 　「この代なら甲子園に行ける」。新チームになった昨秋、つくば秀英の指揮をとる監督の桜井健（27）の言葉を、明石理紀斗（3年）は最初は信じられなかった。 　その直前の秋季大会で、1回戦負けしていたからだ。明石自身も打線の中軸ながら、思うような結果を残せなかった。周囲から「歴代で最弱」とうわさされることもあった。 　桜井は、高校時代の2015年に、埼玉・花咲徳栄から夏の甲子園に出場した経験を持つ。その桜井が明るく、前向きに話すほど「自信が持てなかった」。 　それでも平日の練習後、遅くまで自主練習に付き合ってくれる桜井の姿に、「いつか恩を返したい」と思った。 　転機は、春の県大会。準々決勝で霞ケ浦を破りチームは4強に入った。今夏は常総学院や鹿島学園、水戸一に並ぶシード4強の一角に数えられた。初めて、甲子園が「手に届くかもしれない」と思えた。 　自信を手に、明石は打線を牽引（けんいん）。準決勝までの打率は3割6分8厘。初戦、準々決勝は本塁打も放った。 　この日の決勝も一回に中前へチーム初安打を放った。四回もツーストライクに追い込まれてからファウルで粘り、8球目を二塁打に。塁上でベンチに笑顔を向けた。 　「甲子園、どんな場所か立ってみたかったな」。試合後、ベンチ前で泣き崩れる後輩たちを優しく励ました。 　ただ、力を尽くした背番号9の目に涙はなかった。「一つのことを本気でやり抜いたから。監督や仲間に感謝しかない」。胸を張って球場を後にした。（古庄暢）

朝日新聞デジタル-2日前