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第１０６回全国高校野球選手権大会第４日第４試合（１０日、掛川西８－４日本航空、甲子園）１回戦４試合が行われ、中京大中京（愛知）神村学園（鹿児島）岡山学芸館、掛川西（静岡）が２回戦に進出した。中京大中京は宮崎商に４―３で逆転勝ち。史上最多の夏通算１００試合目を白星で飾った。掛川西は日本航空（山梨）に８―４で勝ち、夏６０年ぶりの勝利。神村学園は木更津総合（千葉）に８―５で競り勝った。岡山学芸館は夏初出場の聖カタリナ学園（愛媛）を１―０で下した。 何度も何度も、タオルで目頭を押さえた。掛川西にとって、１９６４年以来６０年ぶりとなる夏の甲子園勝利。一塁側アルプス席は完売し、右翼席まであふれた２０００人以上の大応援団に、大石卓哉監督（４４）は「ＯＢや地域の方に本当に愛されているチームなんだな、と。選手たちの輝いている姿、諦めない姿を見てもらいたかったし、選手がそれを体現してくれた」と真っ赤な目で話した。 指揮官自ら打撃投手を務めて毎日２００球を投げ込んできた打線は先発全員の１５安打。特に一回の先頭からの４連打、七回２死からの四球を挟んでの５連打と集中打が光った。昨秋の県大会予選初戦で敗退してから「今日も強化」を選手間の合言葉に掲げてきた山下陸人主将（３年）は「思いのこもったボールを投げ続けてくれた監督さんに応えられてよかった」と改めて感謝を口にした。 ８月１０日は生涯忘れられない日となる。大石監督は９８年夏に主将兼遊撃手として甲子園に出場。いわゆる「松坂（大輔）世代」だ。１回戦で智弁和歌山に２－５で敗れたのが８月１０日。毎年「甲子園の日」として当時のチームメートと集まり、近況報告や思い出話に花を咲かせてきた。その２６年前の記念日に、今度は母校の監督としての勝利が〝上書き〟された。 掛川西は６０年前の第４６回大会の開幕試合で八代東（熊本）と０－０で延長十八回引き分け。翌日の再試合で６－２で勝利した。今年で１０６回目を迎えた夏の甲子園で開幕試合の引き分け再試合は後にも先にもこの１試合だけ。文武両道の伝統校は宿舎に戻れば、英語、数学の夏休みの宿題が待っている。（東山貴実）

サンケイスポーツ-19分前

大会４日目（８月10日）の朝は、甲子園球場に着くなり、ネット裏の記者席ではなく、三塁側のアルプススタンドのほうへと向かった。その理由は、試合前のアップ、とくにキャッチボール、遠投を見たい選手がいたからだ。 【長身痩躯の美しいシルエット】 　その選手とは、宮崎商の遊撃手・中村奈一輝（ないき／183センチ・70キロ／右投右打）である。九州担当のスカウトたちが、春の段階からいち早くその成長ぶりを確かめたいと、佐伯鶴城（大分）の狩生聖真（かりゅう・しょうま）や福岡大大濠の柴田獅子（れお）の両投手とともに、名前を挙げていた選手だ。 　本職は遊撃手だが、投手としての将来性も豊か。スローイング能力がすばらしいと聞いていた。 　近年の高校野球は、筋骨隆々の選手が目立つようになってきたが、中村は長身のスリム体型で、美しいシルエット姿が映える。長い手足をよどみなく柔らかくしならせ、指先にかかったボールが、鮮やかなスピンが効いて真っすぐに糸を引くように伸びていく。見とれるようなぐんぐん伸びていく遠投だ。 「こりゃピッチャーだろう......」 　細い体をなんとかしようと、昨年からずいぶん"食育"に取り込んだようだが、数字的にはそれほど結果は出ていない。もし太りにくい体質なら、むしろ投手としては好都合ではないか。体重移動による並進運動と、踏み込んでからの回転運動で投じるのが"仕事"ならば、必要以上に体重が増える"太りやすい体質"より、ずっとありがたい。 　甲子園での遠投といえば、まず思い出すのが2020年、コロナ禍により大会が中止となり、代わりに行なわれた「プロ志望高校生合同練習会」だ。そこに参加していた当時福岡大大濠の山下舜平大（現・オリックス）の遠投が圧巻だった。 　マウンド上とまったく同じフォーム。助走もつけずに、８割程度の腕の振りから放たれたボールが、ほとんどライナー軌道で相手選手のグラブに吸い込まれた時は、それだけで「こりゃ（ドラフト）１位間違いなしだ」と思わず呟いたものだ。 　そのとおり、オリックスから１位指名を受けてプロの世界に進み、「球界の至宝」と呼ぶ人がいるほどの素質に、日々磨きをかけている。

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