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第106回全国高校野球選手権4日目、1回戦4試合が行われた10日、スケールの大きい打者を見つけた。第2試合で登場した木更津総合（千葉）の4番・井上 陸内野手（3年）。打席で構えた時から「違う」ものを感じた。 神村学園（鹿児島）の左腕エース、今村 拓未投手（3年）に2三振を喫したが、空振りするスイングにも、素質の高さが垣間見られた。 腰の据わったいいスイングだった。空振り三振したスイングはともに当てに行ったスイングで、追い込まれるまでのスイングは、ほれぼれする。鋭さ、力強さが他と抜けているように思えた。井上本人も「最初からフルスイングをしたほうが悔いはない。そしてフルスイングをしたほうが、自分の打撃ができるので心がけています」と積極的なスイングに自信をもっていた。 6回の3打席目、腰の据わったいい打撃で適時二塁打を放った。会心の当たりではあったが、彼のポテンシャルはまだまだこんなものではないと思う。千葉大会の中央学院戦で3ランを放って「自分の打撃スタイルに自信を持ちました」と一皮むけているようだが、まだまだ本塁打を量産できる素質があると思う。 そのスイングの豪快さで、勝手ながらソフトバンクの柳田 悠岐外野手（広島商出身）を思い出した。上半身の強さもさることながら、下半身、特に太ももの強さが柳田のたぐいまれなフルスイングを支えていると言われている。井上の腰の据わったスイングを見ると、ますます柳田に思えてくる。 183センチ、80キロ。打席でキリッと構える姿は、均整の取れた体格を思わせ、体全体のパワーを感じる。構えただけで存在感を見せる打者はそういない。今後については「投手をやるか、野手をやるか分かりませんが、与えられたところで一生懸命やって大学野球でも活躍したい」と意気込んでいた。必ず大きく育つ選手だと強く思う。 ◆井上 陸（いのうえ・りく） 2006年8月21日生まれ。小2の時、国分寺エンゼルスで野球をはじめ、中学時代は千葉シニアに所属。主に投手と一塁手として活躍し、小学時代は千葉ロッテマリーンズジュニアに選ばれ、中学時代には東関東選抜メンバーに入った。木更津総合では1年春からベンチ入り。高校通算25本塁打（公式戦3本）。50メートル走6秒8、遠投100メートル。左投げ左打ち。

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第１０６回全国高校野球選手権大会第４日第２試合（１０日、木更津総合５－８神村学園、甲子園）１回戦４試合が行われ、神村学園（鹿児島）は木更津総合（千葉）に８－５で勝利。今岡拓夢内野手（２年）が七回に勝ち越し三塁打をマークした。 三塁ベースに滑り込むと、ガッツポーズで喜んだ。４－４の同点に追いついた直後の七回１死二塁。神村学園の２年生、３番今岡がスライダーをとらえて、レフトへ勝ち越しの三塁打を放った。 「前の３打席は振らされて自分のスイングができなかった。引きつけようという意識で、自分のスイングができるところまで呼び込んだ」 甲子園ははや３度目の出場。小田監督が「前の打席まで内容が悪いのに、ここというところでやっぱり打つ。スター性を感じる」と目を細めるスラッガーは「何回やっても甲子園でやる野球が一番楽しい。帰ってきてよかったなと思う」と独特の雰囲気を満喫した。 鹿児島大会では１７打数６安打で打率・３５３。兄・歩夢（あゆむ）は昨年主将を務めて夏の甲子園で４強入りし、現在は金沢学院大でプレーしている。弟は「自分もチームを引っ張ってお兄ちゃんを超える結果を残したい」と初の全国制覇を狙う。鹿児島の今岡が〝神撃〟をけん引する。（上阪正人）

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