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夏の甲子園出場をかけた第１０６回全国高校野球選手権神奈川大会（県高野連など主催）は１１日、２回戦２２試合が行われた。昨夏の甲子園で優勝した慶応や強豪校の桐蔭学園がともにコールド勝ちし、向上も３回戦に駒を進めた。この日で２回戦の全試合が終了した。 ■向上は技ありの打撃 サーティーフォー保土ケ谷球場の第１試合は技ありの打撃でチャンスをものにした向上が勝利を手繰り寄せた。 向上は先発投手の大森が初回、３者連続三振に切って取り、完璧な立ち上がりをみせた。四回までに１０奪三振と圧巻の投球。五、六、七回は打たせて取る投球に変え、上溝南を０点に抑えた。大森は「ストライクを取ることを意識していたが、外角低めに決まってくれた」と話した。 一方、攻撃では毎回走者を出すも、決定打を許さない上溝南の堅守に阻まれる苦しい展開が続いたが、六回に小技と足を絡めた攻撃で均衡を崩しにかかった。２死走者なしで６番・五十嵐が三塁線上を転がす絶妙のバントヒットで出塁。盗塁を決め得点圏に進んだ直後に、主将の７番・北野が左適時打を放ち、待望の先制点を挙げた。その後、２死一、二塁となり、９番・山田が適時打をはじき返し、リードを広げた。 流れをもたらした五十嵐は「何とかチャンスを作りたかった」。北野は「五十嵐なら走ってくれると盗塁を待っていた。次の１球を思い切って振り抜けた」と振り返った。 上溝南は八回に１死二塁、九回に無死一、二塁と得点のチャンスをつくったが、あと１本が出なかった。（高木克聡）

産経新聞-1日前

（11日、第106回全国高校野球選手権神奈川大会2回戦　多摩0―10桐蔭学園） 　「せーの、いいね」。ナイスプレーの度に、多摩のベンチメンバーがはじける笑顔で一斉に手を上げる。「常時全笑」は部員で考えたスローガンだ。 　部員で野球を「研究」し、日本野球学会でポスター発表を行ったこともある。2死二塁からヒット1本で生還する確率を上げるため、走塁を研究し、三塁ベースを速く回る法則を見いだした。 　6点を追う五回表、2死二塁。冨永直暉（3年）は二塁からベンチに向かって1本指を上げ、「まだまだいくぞ」と自分に言い聞かせた。 　研究で導き出したホームまでの最短距離を思い返しながら、二塁から走り出す。全力で滑り込んだ。結果は惜しくもアウト。でも「自分のベストを出した」。 　桐蔭学園を相手に、0―10の六回コールド負け。試合後、「3年間幸せでした」と語る笑顔が徐々に悔し涙に変わっていった。「悔しいです。後輩はもっと強い高校に勝って、めいっぱい笑ってほしい」（稲葉有紗）

朝日新聞デジタル-1日前