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試合後に高らかに歌う校歌だけでなく、練習時や試合前に「応援ソング」や集中力を高める曲として好きな楽曲に耳を傾ける球児に出会うことが多い。全国高校野球選手権静岡大会に出場する108校の主将へのアンケートでチーム紹介と合わせて「好きな曲（歌）」をそれぞれ挙げてもらった。 　ほとんどの主将が曲名やアーティスト名を回答してくれた。「自分への応援歌」や「勇気をもらえる曲」など挙げた理由は様々だ。野球に向き合う日常と結びついている曲に注目した。 　回答で目立ったのが、朝日放送（ABC）テレビの「熱闘甲子園」や系列局の地方大会中継で流れる高校野球応援ソングだ。掛川西の山下陸人主将（3年）が好きな曲は2022年の「栄光の扉」（平井大）だ。1年生ながらベンチ入りを果たした同年の静岡大会。延長十三回でサヨナラ負けを喫した準決勝で、懸命にプレーして最後は泣き崩れた先輩たちの姿を間近で見ていた。 　「勝敗がもたらすドラマの向こうに　それぞれを待っている栄光の扉が　必ずあるんだ」と歌うメロディーを聴くと、「大好きな先輩との甲子園が途絶えたあの悔しい思いとあのグラウンドの景色がよみがえり、自分を奮い立たせてくれる」と山下主将。準々決勝で敗れた昨夏の大会後、新チームになってからは朝練に向かう前の着替える時に聴き、「絶対、悔しい思いはしない」と気持ちを新たにしている。歌詞にあるように、努力してきた分、強くなってきたはずだ。 　複数の主将が挙げたのが「虹」（2017年、高橋優）。浜名の中村蒼太主将（3年）が小学生の時に「高校野球っていいな、と憧れたきっかけの一つ」で、思い入れの強い曲だ。当時、少年野球をしていたが、「高校でやろう」と本気で思ったのはそれから。 　「前へ　前へ　数cmずつでいいから」のフレーズが心に響く。甲子園に向けて気持ちを高めたい時に決まって耳を傾ける。浜名のチームスローガン「やりきれ」に歌が通じ合う縁も感じる。「1人だけで踏ん張るのが難しい時も、声を出し合う」。歌を励みに、前に進む。 　駿河総合の柳原武侍主将（3年）は、通学時のバスの車内や自主練習時によく聴くという「キセキ」（2008年、GReeeeN）を挙げた。熱血教師と不良野球部員がチーム一丸で甲子園出場をめざす人気漫画が原作のドラマ「ROOKIES（ルーキーズ）」の主題歌で、「お父さんが好きで、小さい時から聴いていた」と振り返る。打撃の自主練では、めいめいがスマホの動画撮影でフォームを確認するだけでなく、好きな曲を流している。ティーバッティングの時に流すと「頑張れる」という。 　「SIGNAL」（2018年、WANIMA）を試合前にいつも聴くという日大三島の富塚龍之介主将（3年）。不確かな一日の始まりに踏み出すスタート時の気持ちをアップテンポで力強く歌いあげたロックだ。昨秋の大会の初戦ごろから試合に向かうバス移動の時間に聴くようになったという。 　「暗い気持ちだと、いいパフォーマンスが発揮できない。気持ちを上げてから試合に入る」。耳に入れると、「背筋が伸びる感じもする」のだとか。曲を力にめざすは「全員野球で甲子園」だ。 　今年の静岡大会でも、熱戦と分かちがたい一人ひとりの曲がそれぞれの胸中にきっと生まれる。（斉藤智子） ■寄せられた主将たちの「好きな曲」リスト（※順不同） 　「飛行艇」King Gnu▽「Teenager Forever」King Gnu▽「05410-(ん)」RADWIMPS▽「カイコ」RADWINPS▽「ライラック」Mrs.GREEN　APPLE▽「ダンスホール」Mrs.GREEN　APPLE▽「欲望に満ちた青年団」ONE OKROCK▽「覇王樹」(サボテン)湘南乃風▽「曖歌」湘南乃風▽「恋」back number▽「光の街」back number▽「ケセラセラ」▽「心絵」ロードオブメジャー▽「Super　Girl」あいみょん▽「今夜このまま」あいみょん▽「仲間」ケツメイシ▽「友よ」ケツメイシ▽「キセキ」GReeeeN▽「栄光の架橋」ゆず▽「オモイダマ」▽「夏疾風」▽「あとひとつ」▽「フォトグラフ」▽「できっこないを　やらなくちゃ」サンボマスター▽「ライオン」ベリーグッドマン▽「ライトスタンド」ベリーグッドマン▽「人にやさしく」THE BLUE HEARTS▽「SIGNAL」WANIMA▽「SPACESHIP」▽「HELLO」福山雅治▽「Roar」▽「栄光の扉」平井大▽「宿命」official髭男dism▽「虹」高橋優▽「Can't Take My Eyes off you 」▽「君の瞳に恋してる」▽「ラストバージン」▽「開幕宣言」 Novelbright▽「親友」RKID'z▽「ナンバーナイン」米津玄師▽「明日も」▽「優しさに溢れた世界で」Saucy Dog▽「napori」▽「Happiness」嵐▽「常超」山猿▽「希望の唄」ファンキーモンキーベイビーズ▽「フリクションエンドロール」アベカワズ▽「タイミング～Timing～」ブラックビスケッツ▽「超 Super Star」SKRYU ▽「Shiroyama」Sabaton▽「LOVE　PHANTOM」▽「愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない」▽「アイラブユー」▽「2002」▽「今宵の月のように」▽「Automatic」宇多田ヒカル▽「終わりなき旅」 Mr.Children▽「beautifulさ」BiSH▽「Landscape」緑黄色社会▽「あこがれ」マカロニえんぴつ▽「天城越え」▽「Closer」▽「サクラウサギ」川崎鷹也▽「愛言葉」▽「夜空ノムコウ」▽「青と夏」▽「13月1日」▽「オワリはじまり」▽「Flying B」▽「CITRUS」▽「君に捧げる応援歌」▽「怪獣の花唄」Vaundy▽「革命」MOROHA▽「情熱の薔薇」▽「値千金」SUPER BEAVER▽「Belive」Folder5▽「Feel　special」TWICE▽「少しだけ」▽「もう恋なんてしない（槇原ドリルRemix）」▽「Continue」SEAMO▽「愛は勝つ」▽「栄冠は君に輝く」▽「学園天国」▽「Live My Life」 aespa▽「モンキーターン」▽（在学校の）校歌

朝日新聞デジタル-1日前

子どもたちの興味が多様なスポーツに広がり、「野球離れ」など野球人口の減少が指摘されるなか、小中学生との交流に力を入れる高校の野球部が静岡県内でも目立つ。技術指導だけでなく、チーム競技や部活動としての野球部の魅力を伝える狙いで、保育園やこども園で野球交流する学校もある。 　全国高校野球選手権静岡大会の前哨戦として、掛川西、掛川東、掛川工、横須賀の掛川市内4校野球部が集った5月の「第21回市内高校野球交流戦」では、小学生野球体験会が同時に開催され、4校の部員が試合以外の時間に近隣の少年野球チームの児童を指導した。 　野球体験会は試合会場（いこいの広場野球場）に隣接するグラウンドで開かれ、参加した小学1～6年生の児童たちはベースランニングを盛り込んだ鬼ごっこや、立てたバットにボールを当てるゲームなど工夫したメニューで楽しみながら「走る」「打つ」「投げる」の基礎を体験した。 　「子どもたちが野球をめちゃ本気で楽しんで、元気よくやっていた。高校ではこういう機会がなかなかないので新鮮だった」。体験会をこう振り返る掛川東の斎木陸玖主将（3年）は「野球が楽しいのは友達みんなと一緒にやれることだと思う」と競技の魅力を話す。 　市内の野球少年団でプレーする熊切新太君（小学4年）は「投げたり打ったりが難しかったけど、バットにボールを当て、倒せたのがうれしかった」と話した。（斉藤智子）

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