Yahoo! JAPAN

◆第１０６回全国高校野球選手権茨城大会▽１回戦　明秀日立１５―３境＝６回コールド＝（８日・ノーブルホームスタジアム水戸） 　茨城では２０２２年夏の甲子園に出場した強豪・明秀学園日立が６回コールドで境に勝利し、初戦突破した。東大志望の台湾留学生・李ブン勲（り・ぶんしゅん）内野手（３年）が「７番・一塁」でスタメン出場。５回には右越え３ランを放つ活躍を見せた。 　夏空に大きな放物線を描いた。明秀学園日立の台湾人留学生・李はダイヤモンドを一周すると、感情を爆発させた。５点リードで迎えた５回１死一、三塁の好機。カウント１―１からの３球目、内角低めの直球をフルスイングすると、打球はライトスタンドに着弾した。高校通算５発目、自身公式戦初アーチとなる３ランに、三塁側の応援席も沸いた。 　「最高の結果になりました。日本に来ていろんな恩を受けたので、少しでも返せるように最後まで勝ち続けて、甲子園に行きたい」 　１８３センチ、８８キロと恵まれた肉体を誇る左の強打者。大会前までは４番を担っていたが、この日は７番で起用された。光星学院（現八戸学院光星）時代には巨人・坂本勇人を育成した名伯楽の金沢成奉監督（５７）は「ちょっと肩の荷を下ろして、７番にして良かった。全ての打席の内容が良かった」と褒めたたえた。 　大阪桐蔭で１８年の甲子園の春夏連覇に貢献した根尾昂（現中日）を見て、甲子園出場に憧れを抱いて来日を決意。学業にも秀でた根尾同様、李も文武両道を貫く。チーム一の秀才で、東大入学も目標に掲げる中、副将の重責も担う。日本語も堪能だ。好きな科目は「野球につながるところがある物理」。チームメート・本間颯太選手（３年）の父・厚志さんは李について「親思いで、礼儀正しい。日本人より日本人らしい」と話した。初回、守備位置と相手ベンチへ深く一礼する姿が、それを表していた。 　同校が甲子園に出場した２年前の夏は、アルプス席で応援した。台湾から応援してくれる両親について「甲子園に出たら来てくれる」と笑った李。聖地を目指して、次戦もフルスイングを貫く。（中西　珠友） 　◆活躍する台湾留学生　甲子園で活躍した台湾留学生では、１４年春の横浜戦で八戸学院光星の蔡鉦宇（さい・せいう）が３安打。沖縄尚学の崔哲（さい・てつい）も１９年夏の習志野戦で３安打２打点。昨夏の甲子園では高知中央の謝喬恩（しゃ・ちゃおえん）が、１番で３安打４打点。投手では０３年夏に日南学園の蕭一傑（元阪神）が富山商戦で登板した例がある。甲子園出場経験はないが、陽仲寿（現・岱鋼、福岡第一＝現オイシックス）や林威助（柳川＝元阪神）ら、ＮＰＢ入りした選手も少なくない。

スポーツ報知-1日前

◇第106回全国高校野球　福岡大会3回戦　福岡第一6―0久留米学園（2024年7月8日　久留米） 　福岡大会は8日、3回戦9試合が行われた。福岡第一のプロ注目147キロ右腕・前田明慶（3年）は6点リードの6回に4番手で登板し、DeNA、オリックス、ロッテなど5球団のスカウトが見守る前で最速144キロの直球主体に2回完全。5者連続三振も奪った。前田幸長氏（野球解説者）を擁し、準Vした1988年以来36年ぶりの甲子園へ“エース・前田”が導く。 　22球投げて変化球は2球だけだった。ただ、福岡第一のエース・前田の直球は分かっていても当たらない。 　「球速よりキレを重視しています。次へ向けてスタミナを残したかった。（力の入れ具合は）7割くらい」 　1番から始まる6点差の6回に登板し、3者連続三振を奪った。この回、最速は自己記録に3キロ及ばない144キロだった。多少、出力を落とした7回も137キロ、140キロの直球で久留米学園の4、5番を空振り三振に仕留める。「軸をしっかり、バランスよく投げることを意識しています」。1分間あたりの回転数は、好調時にはプロでも一流の部類と言われる2500回転を計測するという。 　右肘痛に苦しみ、投球練習を再開したのは今年6月だった。背番号1は最速146キロの三谷力斗（3年）が付け、調整途上の前田は背番号17。「ケガ明けなのでできるだけ無理をしない」と自らに言い聞かせ、初戦だった5日の2回戦（対香椎工）も救援で2回完全、2奪三振だった。それでも5日は巨人など3球団、この日は5球団のスカウトがネット裏に集まるのは、光る素材という証拠だ。 　福岡第一が最後に甲子園に出場したのは昭和最後の88年夏。左腕・前田幸長を擁し、準優勝した試合は「YouTubeでよく見ます」。36年ぶりの聖地へ向けては「自分たちの代で行きたいプライドはある」と元号が一つ飛んだ令和の“エース・前田”は力強く、夏の頂点を誓った。　（福浦　健太郎） 　◇前田　明慶（まえだ・あきよし）　2006年（平18）11月15日生まれ、京都市出身の17歳。竹田小3から「竹田イーグルス」で野球を始める。藤森中時代は「京都ヤングフレンド」でプレーした。「寮生活で自分を高める」との強い意志から野球留学した福岡第一では1年生の春からベンチ入り。1メートル83、80キロ。右投げ右打ち。

スポニチアネックス-1日前