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6日に開幕した第106回全国高校野球選手権岐阜大会は27日、岐阜城北が9年ぶり4度目の優勝を飾り、閉幕した。今夏も実力校がしのぎを削る見どころの多い大会だった。 　昨秋と今春の県大会でいずれも初戦敗退した岐阜城北は、ノーシードから甲子園をつかんだ。 　かねてから定評があった打撃はチーム打率3割8分5厘と好調を維持した。注目すべきは6試合で21個という盗塁数。「低く強い打球と足を使った野球」（秋田和哉監督）という特長を発揮した。 　粘り強さが身上だ。第1シードの関商工、昨夏優勝校の大垣日大にいずれもサヨナラ勝ち。決勝も県岐阜商に先制されながら追いつき、延長戦を制した。練習で培った強い精神力がうかがえた。 　大黒柱のエース中本陽大投手（3年）も急成長した。大会中に最速144キロを記録したが、140キロ台に達したのは大会直前。変化球も多彩で、甲子園での一層の成長に期待したい。 　春の東海大会4強の県岐阜商は、最速149キロの森厳徳投手（3年）や木製バットで本塁打を放った垣津吏統主将（3年）ら猛練習で技術を磨いた才能豊かな選手の集団だった。甲子園経験の豊富な鍛治舎巧監督の「監督力」も相まって快進撃を続けた。 　ただ、激戦ブロックに入り、中京や帝京大可児、岐阜聖徳学園といった強豪との対戦が続き、決勝まで気が抜けなかったことは、あるいは今回の結果に影響したのかもしれない。 　準々決勝の九回2死までリードしながら岐阜城北に敗れた大垣日大。最後のマウンドに立ったエース権田結輝投手（3年）は、昨夏の甲子園にも出場した。「意地とプライドがある」（高橋正明監督）との言葉通り、痛めた腰に時折手を当てながら鬼気迫る形相で岐阜城北打線に立ち向かう姿が印象的だった。 　強豪相手でも先発完投できる投手を複数そろえ「投手王国」と呼ばれた岐阜第一。鍛治舎監督と同様に甲子園経験の豊かな田所孝二監督が率いつつも、頂点には届かなかった。水野匠登投手ら2年生が多いチームで、秋以降に期待したい。 　このほか、「10万回スイング」などの猛練習で4強入りした岐阜各務野、プロ注目の平塚大記投手（3年）を擁した市岐阜商、昨夏初戦の逆転負けを糧に8強入りした岐阜…。大垣工や大垣北、東濃実、高山西や多治見工にも好選手がいた。夏は高校生を見違えるほど成長させる。早くも来年が楽しみだ。（高原敦）

朝日新聞デジタル-16時間前

第106回全国高校野球選手権岐阜大会は27日、長良川球場（岐阜市）で決勝があり、岐阜城北（同）が延長十一回の激闘の末に県岐阜商（同）を6―5で破り、9年ぶり4度目の優勝を果たした。選手権大会は8月7日に阪神甲子園球場（兵庫県西宮市）で開幕する。 　（27日、第106回全国高校野球選手権岐阜大会決勝、岐阜城北6―5県岐阜商） 　◎…決勝にふさわしい熱戦は延長タイブレークにもつれ込み、岐阜城北が手堅い攻めと守備力で県岐阜商を振り切った。 　2点リードされた岐阜城北は五回、河野の安打と犠打、盗塁に敵失がからんで得点。さらに2四球から太田の適時二塁打で試合を振り出しに戻した。九回は2死から5四死球で勝ち越した。 　5―5で迎えた十一回、犠打で1死二、三塁と走者を進め、打席に入ったのは長江。「犠牲フライでもいい。次打者にいい形でつなげたい」。その思いどおり、右犠飛を確実に打ち上げ、これが決勝点となった。 　岐阜城北・秋田監督は「キーマンは中本」、県岐阜商・鍛治舎監督は「堂々と打ち勝ちたい」と語ったこの試合。序盤、主導権を握ったのは県岐阜商だった。 　一回、岐阜城北のエース中本の立ち上がりをそつなく攻めた。日比野の二塁打や犠打、加納の左前適時打で先制し、1死二塁から垣津も中前適時打を放ち加点した。 　しかし、二回以降、中本の直球が走り始め、追加点を奪えない。 　県岐阜商が名門の意地を見せたのは、2―4と追い込まれた九回。2死一塁で代打寺前が「絶対に負けられない」と低めの変化球をはじき返し、左越えの適時三塁打。日比野が中前適時打で続き同点に追いついた。 　延長タイブレークに入り、岐阜城北の守備が光った。 　十回1死二、三塁、県岐阜商は垣津の中前安打で、二塁走者も本塁へ突っ込んだが、中継プレーでタッチアウト。十一回は小鎗の左前安打で二塁走者が本塁を狙った。だが岐阜城北・河野が「絶対に刺す」と左翼から好返球し、生還を許さなかった。（荻野好弘） 　　　　　◇ 　岐阜城北・秋田和哉監督　選手たちがすごかった。（初回に）2失点したが、食らいついていき、よく守ってしのいだ。県岐阜商は力強く、経験と意地を感じた。守りを中心に、低く強い打球と足を使った野球の精度を上げて甲子園に臨みたい。 　県岐阜商・鍛治舎巧監督　２点差の九回に２死まで追い込まれてから、追いついたのは今まで積み上げてきた努力が結実した結果だと思う。エース森の４失点も想定内だった。九回は疲れが見えたが、相手のエースに負けずに投げきってほしいと思って送り出した。 　　　　　◇ 　（27日、第106回全国高校野球選手権岐阜大会決勝、岐阜城北6―5県岐阜商） 　決勝の始球式は、岐阜市立常磐小学校5年の後藤杏奈さんがマウンドに上がった。スポーツ少年団では右翼手を務め、背番号は「9」。一礼して投げ込んだ球が捕手のミットに吸い込まれると、球場は大きな拍手に包まれた。 　「一生に一度やれるかやれないか」と始球式に応募し、父親の康男さん（41）と練習を繰り返して臨んだ。 　「お客さんが多いので緊張したけど、上手に投げられた」と話した。

朝日新聞デジタル-1日前