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複雑に組み合わさった歯車。オートマチックトランスミッションの生産で世界一を誇る自動車部品メーカーが…
愛知県に本社があるアイシンです。安城市内に、社員でも限られた人しか入れない施設があります。ずらりと並んでいるのは工作機械。生産ラインの試作機です。
こちらもその一つ。
ラインからラインに重いトランスミッションを運ぶ台車です。そして運び終えると…勝手に戻っていきました。
トランスミッションの重みで台座が沈み込むと…その動きが歯車に伝わり前に進む仕組みです。
(アイシン 設備工機部 橋本さん)「この4本の支柱を介して、縦のギアから丸のギアに動力が伝達され最終的に車輪に動力が伝わっていきます」
そしてトランスミッションを運び終えると…台座があがり
(橋本さん)「スプリングが伸びようという力で逆転の(歯車の)動きで原点に戻る」
電気も人の手も、一切使いません。
実際の工場では…
およそ100キロのトランスミッションを軽々と運んでいます。電気は使っていませんが、よどみなく動いています。
橋本邦之さんは、生産設備の開発で現代の名工にも選ばれました。開発では、あるものを手本にしているといいます。それは…
(橋本さん)「このようなからくり技術」
からくり人形は、愛知県に江戸時代から継承されてきた伝統技術。いわば、愛知のものづくりの原点です。
その伝統のノウハウを生産技術の開発に取り入れているのです。
(橋本さん)「コップを置くと、ピンが上昇することでストップ解除される」
そして今、このからくりの技術が、改めて注目を集めています。
(橋本さん)「からくり技術は、動力源を使わない。電力を低減できる。CO2低減につなげられると。設備投資、コストという面でも低コストな設備が出来る、と」
2050年までに二酸化炭素の排出量実質ゼロを目指しているニッポン。火力発電への依存度が高い現状においては、消費電力の削減が、多くの製造業にとって課題となっています。
とりわけ電力の消費が大きいのは、自動化が進む生産ライン。
エコロジーでエコノミーなからくりの技術なら電力の消費を抑えられます。
(日本経済新聞 宮田記者)「自動車業界に関わる多くの企業は、脱炭素に向けた取り組みを進める一方で、激しい国際競争に打ち勝つため徹底的なコスト削減も求められています。そこでこうしたからくりの技術を生産ラインだけでなく、製品そのものにも取り入れようという動きも始まっていて、活躍の場は今後ますます広がりそうです」
ものづくりの現場を支える「からくりの技」。ロボットによる無人化が進んだ最新の生産ラインも、よく見ると、からくりの仕掛けが隠れていました。
(橋本さん)「からくり技術と次世代のAIやロボットを融合させたモノづくり。そこの知恵と工夫が非常に大事と考えています」